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タルテソス Tartēssos

世界大百科事典 第2版の解説

タルテソス【Tartēssos】

イベリア半島南部にあったといわれるイベリア原住民による最初の国家。文献史料と発掘調査の両面から研究が進められているが,まだその実態は多くの謎を残している。 タルテソスの成立は,前1000年ころからイベリア半島に渡来し始めたフェニキア人とギリシア人との接触が半島原住民に及ぼした文明化の結果と考えられる。史料によれば政治的には王制,韻文で書かれた成文法を有し,経済生活は豊かな農業と鉱業に支えられ,住民の間にはすでに身分階層の分化が認められた。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

タルテソス
たるてそす
Tartessos

イベリア半島南部に成立した古代国家およびその首都の名称。タルテソスの名はヘロドトスその他のギリシア・ローマの作家の著述に出てくる。その歴史は基本的な点においてまだ多くの謎(なぞ)に包まれているが、時間的には紀元前1000年ごろから前6世紀にかけて存在したと推定される。領土は今日のスペイン南部の西、ウェルバから東のムルシアに及び、中心はグアダルキビル川下流のセビーリャ周辺だったとみられる。政体は王制で、戦士団と神官がこれを支えていた。ヘロドトスはギリシア人に友好的な王として、前7世紀末ごろのアルガントニオス王の名をあげている。国内に豊かに産する銀・銅に加えて、おそらくはブリテン島方面からもたらされる錫(すず)をもって、ギリシア人やフェニキア人と活発な交易を行った。そしてのちにタルテソスの仲介を排除しようとしたフェニキア人に滅ぼされたと考えられる。1958年にセビーリャ近郊のエル・カランボーロから出土した重さ約3キログラムの金細工品は、文献が語るタルテソスの富をしのばせる。
 なお、『旧約聖書』の「エレミヤ書」や「エゼキエル書」に出てくるタルシシをタルテソスと同一視する説があるが、現在のところ確証はない。[小林一宏]

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