(1)トルコの伝統的古典音楽で用いられる撥弦楽器 寄木で作った半円球の丸い胴に非常に細長い棹をもったリュート属の楽器。胴の表面には薄板をはる。棹は104~106cmくらいあり,42あるいは48個のフレットが結びつけられている。弦は金属弦4コース(各2本か低音弦のみ1本)で,相対的音高たとえばレ・ラ・レ・ラと調弦する。音域は3オクターブ半。べっこうまたはプラスチックの細長いばちを右手人差指と中指の間に挟んで持つ。左手指でビブラートをつけるばかりでなく,長い棹を上下に振って音をゆらすのが特徴。元来はペルシア,アラビアの楽器であったが,現在はトルコの芸術音楽のみで用いる。
(2)アフガニスタンの撥弦楽器 全長106~148cmくらいで小さな胴と長い棹(80~110cmくらい)をもつ。棹は太く24~26個のガットのフレットが結びつけられ,金属弦2~6本の主弦がはられるが,ほかに11~14本の金属共鳴弦をもつ。演奏は右手人差指に針金製の爪をつけ弦をはじく。アフガニスタン全域に広く分布する。
執筆者:小柴 はるみ
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西アジアや中央アジアのリュート属撥弦(はつげん)楽器の総称。洋ナシ形や半球形の木製共鳴胴(木製響板付き)に長い棹(さお)を取り付けたもので、全長40~120センチメートル。糸蔵のない形態が多い。棹には10~48本の可動フレット(羊腸製など)が巻かれる。金属弦の数は3~10本とさまざまで、普通、数本を一コースとして同音に調弦し、各コースを旋律用もしくは持続音用として使い分ける。音域は二オクターブ以上。奏者は、楽器を地面や膝(ひざ)の上に垂直に立てたり水平に構えたりして、指もしくは小さなプレクトラム(義甲)で弦をはじく。用途の多くは民俗音楽における独奏や伴奏だが、トルコでは古典音楽にも用いられる。同種の楽器に、インドのタンブーラや東ヨーロッパのタンブラなどがある。
[山田陽一]
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…多くのむらではこのような用水のしかたを監督する水番や管理人を置いていたが,渇水季になるとわずかな水の利用をめぐって水争いの起こることがしばしばあったといわれる。揚水具としては,水力を用いる水車(ナーウール),畜力を用いる揚水車(サーキヤ,ドゥラーブ),人力による揚水車(ダーリーヤ)やらせん状揚水機(タンブール)およびはねつるべ(シャードゥフ)などが一般に用いられた。しかしイランのカナートが熟練の技術者によって掘られたように,ナーウールやサーキヤなどの揚水車も専門の大工によって製造されたから,その建設には費用がかかり,いきおい建設に伴う用水権はイクター保有者や地主などの富裕者に帰することになったのである。…
…もっとも水車の動力としての利用も継続しており,珍しい例では,10世紀のティグリス,ユーフラテス両川沿いの都市で,製粉・製紙に用いられた浮水車,バスラで同じく動力用の潮汐水車などが記録されている。 イスラム時代の水車は原理的にはそれ以前のものと変わらないが,初めてそれが農業に応用されることによって,それまでダルウdalw(滑車の付いたつるべ),シャードゥーフshādūf(はねつるべ),タンブールṭanbūr(アルキメデスのスクリュー)などによって,菜園的な規模でしか行われてこなかった夏作が一挙に拡大し,輪作による土地利用の高度化が実現した点が重要である。この過程で水車のデザインや細部の改良もすすみ,その一部がヨーロッパにも伝わった。…
※「タンブール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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