ダマル(その他表記)ḍamaru[ヒンデイー]

デジタル大辞泉 「ダマル」の意味・読み・例文・類語

ダマル(ḍamaru)

インドおよびチベット振鼓ふりつづみ。砂時計形の胴をもつ両面太鼓で、胴にひもを巻いてその先を垂らし、振ることによってひもの端の小球が膜面を打つ。→振鼓
インド北部のカシミールやパキスタン東北部の旧フンザ王国などの片面鍋形太鼓。

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改訂新版 世界大百科事典 「ダマル」の意味・わかりやすい解説

ダマル
ḍamaru[ヒンデイー]

インド古来の打楽器腰鼓の一種。インド神話によれば,シバ神は,宇宙創造の舞踊ターンダバ)において,ムリダンガとともに,より小型で砂時計状の形をしたダマルを使用した。古典サンスクリット文学では,どくろを首からつるしたシバ教の一派の楽器とされる。中央のくびれた胴は木,陶器,青銅などで作られており,両面の革は締紐によって双方に結びつけられる。12世紀ころのマルカンダ出土の彫像では,左手は締紐の上から胴をつかみ,右手の指が革の表面に触れている。小型のものは,片手で左右に容易に回し振りすることができるところから,小さな球を紐につけて,振鼓(ふりつづみ)としたものもある。これはチベットの,どくろを2個合わせて胴とした〈ガー・チュン〉と同種のものである。これもダマルとも呼ばれ,その構造等の原始性から,ダマルの原型とする説もある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ダマル」の意味・わかりやすい解説

ダマル
だまる
amaru

インドおよびチベットの砂時計型両面太鼓。胴のくびれた部分に金属やコルクの玉のついた紐(ひも)を巻き、太鼓を左右に振って膜面に玉を当てて音を出す。大きさは8~30センチメートル、紐の両端に玉のついたものや片方だけのもの、布製の持つ部分があるものやないものなどさまざまである。胴は木、陶、青銅などでつくられ、チベットでは人間の頭蓋骨(ずがいこつ)を2個背中合わせにつけたものもある。インド神話のシバ神の持ち物とされ、本来は宗教儀式や呪術(じゅじゅつ)などに用いられたが、今日ではおもに大道芸人の用具となっている。

[柴田典子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ダマル」の意味・わかりやすい解説

ダマル
damaru

インド,チベットの小さな振り鼓 (でんでん太鼓) の類の膜鳴楽器古代サンスクリット文学彫刻にシバ神の楽器として現れる。インドのは鼓形の胴の両面に皮が張られ,胴につけた紐の先に小さな金属性の玉がつけられており,太鼓を振ると,その玉が両面に当って音が出る。両面の皮を紐で締めているので,その紐を締めたり,ゆるめたりすることによりピッチを変えることができる。宗教的な民俗音楽に多く用いられる。チベットのダマルは碗形の胴を背中合せにつけた形のもの。2つの頭骸骨でも作る。ラマ教の誦経に用いる。モンゴルにもある。

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