改訂新版 世界大百科事典 「チャラン」の意味・わかりやすい解説
チャラン (茶蘭)
Chloranthus spicatus (Thunb.) Makino
センリョウ科の常緑低木で,高さ50cm余の株状に生育する。無毛で托葉がつき,葉がセンリョウより鈍鋸歯で,やや鈍頭である。茎端に円錐花序状に穂状花序を集め,花はおしべ3本が1本のめしべに合着し,芳香がある。果実は液果で,白く熟し,1個の種子を有する。中国南部から東南アジアの暖地に分布し,日本では観賞用として鉢栽培して温室で育てる。中国では茎や根から芳香油をとり,花の香りを楽しむために古くから栽培されていた。近年では観葉物としても栽培される。栽培は腐植質の多い適湿を保つような土に植え,繁殖は株分けか挿木による。関東地方では室内でも十分に越冬し,日陰に耐える。ときに切花として利用される。葉は茶に似るが,茶の代用にはならない。
執筆者:中村 恒雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報