チヤンシー(江西)省(読み)チヤンシー(英語表記)Jiangxi

翻訳|Jiangxi

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チヤンシー(江西)省」の意味・わかりやすい解説

チヤンシー(江西)〔省〕
チヤンシー
Jiangxi

略称はカン (贛) 。中国,華東地方南西部の1級行政区。6特別市と5地区に分れ,11市 75県が含まれる。行政中心地はナンチャン (南昌) 特別市。戦国時代には楚の地であった。唐で江南西道に属したことから江西の名が生じ,明代に省域が定まった。北縁をチャン (長) 江が東流する。北部には盆地状のポーヤン (鄱陽) 湖平原があり,中部から南部は丘陵山地である。省境の山地から多数の河川が流出して,ポーヤン湖に注いでいる。最大の河川はカン江で,省の2分の1を流域とする。平均気温は1月で4~9℃であるが,山脈に囲まれるために7月では 28~30℃に達する。年降水量は 1300~2000mmで,4~6月に集中し,秋と冬は乾燥する。ポーヤン湖平原は面積2万 km2で,古くから「魚米之郷」の名がある。山間には大小の盆地と広い谷が開け,重要な農業地域である。食糧作物の播種面積のうち 80%を水稲が占める。工芸作物はアブラナを中心に,ワタ,カラムシなどがある。丘陵では北部は茶,南東部は柑橘類,南部はサトウキビを栽培し,つばき油,桐油の産出も多い。漁業も盛んであり,チャン江沿岸は稚魚の産地として知られる。南部にタングステンの大鉱床があり,ターユイ (大余) 県などで採掘されている。鉄,石炭,銅,スズ,マンガンなどの鉱山もある。工業は鉄鋼冶金をはじめ,機械,化学,電力,紡織製紙製糖製茶などが比較的発達している。2分の1以上の県に化学肥料の工場がある。ナンチャン市はポーヤン湖平原のカン江東岸にあり,チョーカン (浙 贛) 鉄道,ナンシュン (南潯) 鉄道が接続していて,省の水陸交通の中心である。チウチヤン (九江) 市はチャン江の重要河港の一つ。北東部のチントーチェン (景徳鎮) 市は中国最大の陶磁器産地。カンチョウ (贛州) 市はカン江の上流にのぞみ,省南部の中心地である。面積 16万 6600km2。人口 3771万 281 (1990) 。

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