ツバキ科(読み)つばきか

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ツバキ科」の意味・わかりやすい解説

ツバキ科
つばきか
[学] Theaceae

双子葉植物、離弁花類常緑または落葉大木。両性花で、普通は葉腋(ようえき)に1花を開く。萼片(がくへん)は5枚または多数で、果期まで残っている。花弁は5枚、離生または基部が合着する。雄しべは多数、まれに5本のものがある。子房は上位。果実は裂開する蒴果(さくか)が多いが、液果や石果もある。胚乳(はいにゅう)は少ないか、まったくない。果実の特徴で大別すると、果実が裂開せず肉質な液果を結ぶヒサカキサカキモッコクはモッコク亜科に属し、果実が裂開する蒴果を結ぶツバキチャノキナツツバキなどはツバキ亜科に分類する。世界に30属500種あり、おもに熱帯亜熱帯に分布するが、少数は温帯にもある。日本には約8属20種が分布する。世界で広く栽培され、多くの園芸品種がある。

[杉山明子 2021年4月16日]

 APG分類でもツバキ科とされる。チャノキ属はツバキ属に統合された。ヒサカキ、サカキ、モッコクのグループは、サカキ科(モッコク科、ペンタフィラクス科ともいう)として独立した。この分類によると、世界に約7属250種あり、日本には4属9種が分布する。

[編集部 2021年4月16日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ツバキ科」の意味・わかりやすい解説

ツバキ科
ツバキか
Theaceae

双子葉植物オトギリソウ目の1科。世界の熱帯から暖温帯にかけて 16属約 500種がある。常緑の低木ないし高木で,ツバキ属 Camelliaのほか,チャノキ属 Thea,ヒサカキ属 Eurya,モッコク属 Ternstroemiaなどを含む。葉は互生し,単純形で革質。放射相称形で5弁の両性花をつけるが,花弁数はときに4枚または多数となる。おしべは多数あって基部で癒着するものが多い。果実は乾果核果をつくる。チャ (茶)緑茶や紅茶の原料として世界的に広く栽培され,ツバキ (椿)モッコク (木斛)ナツツバキ (夏椿)などは庭樹としてよく知られる。

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世界大百科事典(旧版)内のツバキ科の言及

【ツバキ(椿)】より

…日本の花木を代表するツバキは,ツバキ科の中でも観賞植物として最も広く利用され,親しまれている。常緑高木で,冬から春にかけて開花する。…

※「ツバキ科」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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