ディオゲネスラエルティオス(英語表記)Diogenēs Laertios

改訂新版 世界大百科事典 の解説

ディオゲネス・ラエルティオス
Diogenēs Laertios

3世紀前半ころのギリシア哲学史家。生没年不詳。ギリシア哲学史というべき《著名哲学者たちの生涯教説》の著者として以外は何もわからない。この書物ではエピクロスについての記述の量が他と比較にならないほど大きいが,とにかく網羅的であり,とくに伝記的部分のおもしろさは抜群で,ディオゲネス研究家として出発した哲学者ニーチェに大きな影響のあとを見ることができる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ディオゲネス・ラエルティオス
でぃおげねすらえるてぃおす
Diogenes Laertios

生没年不詳。古代ギリシアの伝記作家。その名についてさえ確実なことは不明であるが、懐疑派エピクロス派の哲学に共感を抱いていた3世紀初めころの人と推定される。その列伝体哲学史『著名な哲学者の生涯と学説』10巻で有名である。同書は著者の識見には疑問がなくはないが、彼以前の哲学者の書物を広く渉猟しその所説を忠実に後世に伝えているため、ギリシア哲学史に数少ない貴重な資料を提供し、その貢献するところは大である。

[北嶋美雪 2015年1月20日]

『北嶋美雪訳『ディオゲネス・ラエルティオス(抄訳)』(『世界文学大系63 ギリシア思想家集』所収・1965・筑摩書房)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

ディオゲネス・ラエルティオス
Diogenēs Laertios

3世紀頃のギリシアの哲学史家。詳しいことはほとんど知られていないが,タレスからエピクロスまでを扱った『著名哲学者の生涯と教説』 Bioi kai gnōmai tōn en philosophiai dokimēsantōnは古代における最も著名な伝記学説誌の一つであり,現存しているもののうちでは最古文献

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