トリコット(その他表記)tricot

翻訳|tricot

デジタル大辞泉 「トリコット」の意味・読み・例文・類語

トリコット(tricot)

トリコット機で編まれた縦編みのメリヤス地。肌合いが柔らかく伸縮性がある。下着から外衣まで広く利用される。

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精選版 日本国語大辞典 「トリコット」の意味・読み・例文・類語

トリコット

  1. 〘 名詞 〙 ( [フランス語] tricot から )
  2. (たて)メリヤスの一つ。緯(よこ)メリヤスと比べて、ほつれにくい。肌着類、手袋靴下婦人服などに用いられる。
    1. [初出の実例]「トリコット、それはどういう編物ですか」(出典:爪(1960)〈水上勉〉二)
  3. トリコットおり(━織)」の略。

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改訂新版 世界大百科事典 「トリコット」の意味・わかりやすい解説

トリコット
tricot

本来,編物のすべてを意味するが,日本ではニット編地の一つであるトリコット編機で編んだ編物の二重デンビ編のことをいう。ワイシャツ,女性用各種下着,外衣,靴下,上質の手袋などに用いられている。ニットには大別して経(たて)メリヤス(トリコット,ラッセル,ミラニーズ)と緯(よこ)メリヤス(横編ニット,丸編ニット)の2種がある。トリコット編地の編成される経メリヤスは,縦方向に垂直に植えられた針により,経糸どうしの連鎖によって編目が形成される。その中のトリコット機はニードルベッドに植えられたひげ針の編成作用により,あるいはパイプニードルの編成作用によりフラット状に編地が製作される。

 経編機は1775年イギリスのクレーンEdmond Craneがひげ針による経編機を発明したことに始まる。日本に経編機の設置されたのは,1899年斉藤メリヤス工場にドイツから3台輸入されたのが最初で,企業としては大正末期から昭和の初期にかけて成長してきた。当時は主として絹トリコット生地,高級綿トリコット生地が製造されていた。第2次世界大戦中はその機械製作も経編地の製作も打ち切られていた。戦後,1952年ころから細デニールのナイロン糸が登場し,この細いナイロン糸を布地にするにはトリコット機が最適であるとされ,外国製の経編機が輸入されはじめた。これを機に日本の経編メリヤスが生気をとりもどし発展することになる。

 トリコット編機には,シングル・トリコット編機とダブル・トリコット編機の2種類がある。シングル・トリコット編機は一般的な経メリヤス機で,現在の経メリヤスの大部分はこの機械で生産されている。トリコット編機で編み立てられる編地の種類は多いが,特徴としては,1枚筬(おさ)によるものは一重デンビ,一重トリコット編ともいわれ,編地が薄くほぐれやすいため衣類としては適さない。2枚筬によるものはダブル・デンビ,ダブル・アトラス,ダブル・トリコット編ともいわれ,編地が重厚でほぐれにくいので用途が多い。3枚筬によるものは厚地の柔らかい編地でビロード感触をもつ。
編物 →メリヤス
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トリコット」の意味・わかりやすい解説

トリコット
tricot

メリヤス製品のうちの経編みメリヤスのこと。語源は編物の意のフランス語トリコ tricot。緯編みメリヤスが,成型編みができて伸縮性があるものの,着くずれがしたり,糸の一端を引くとどこまでもほどけるという欠点があるのに対し,トリコットに使う経編みメリヤスにはこの欠点がなく,比較的緻密な組織をつくることができ,デザインも変化に富むので高級品とされている。トリコットのうち一重トリコットは綿糸や毛糸を用いて裏を軽く起毛している。マフラーなどに最適。ダブルトリコットは2組の経糸を使って厚みをもち,高級肌着やマフラー,手袋などに使われる。

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百科事典マイペディア 「トリコット」の意味・わかりやすい解説

トリコット

メリヤスの一種。経(たて)糸が相互にからんでほつれにくく,地が密で,透し模様など変化ある編み方ができる。毛,綿,化繊,合繊によるものがあり,下着,靴下,手袋,セーターなど用途が広い。またトリコット織は伸縮性に富む毛織物で,組織は二重織。婦人服地などにする。
→関連項目足利[市]

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「トリコット」の意味・わかりやすい解説

トリコット
とりこっと
tricot

経(たて)メリヤス機の一種であるトリコット機で編んだ経編みの生地(きじ)、あるいはその編機をさす。また、トリコットは編むという意味のフランス語tricoterから出ているので、編物一般をさすことがある。緯(よこ)メリヤスのようにほどけやすい欠点がなく、繊細緻密(ちみつ)な地合いから、レースのような透かし目のものまで、変化のある編み目ができるのが特徴である。外衣用のほか、肌着、靴下など伸縮性を要求される衣料に広く利用される。

[角山幸洋]

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