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トリパノソーマ Trypanosoma

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

トリパノソーマ
Trypanosoma

原生生物界鞭毛虫類トリパノソーマ科トリパノソーマ属に含まれる寄生虫の総称。マクムシともいう。体は柳葉状で,体長 0.01~0.07mm。体の中央に 1個の核があり,また体の後端から生じる 1本の鞭毛の基部付近にも小さな鞭毛核がある。鞭毛は体側に沿って前方に伸び,体と鞭毛の間は波動膜によって結ばれていて,前端で遊離して自由鞭毛となる。増殖は通常縦二分裂による。動物の血液,体液中に寄生しており,波動膜を波のように動かして液中を泳ぐ。カエルの血液中にカエルマクムシ T. rotatorium,ネズミの血液中にネズミマクムシ T. lewisi などが知られている。またヒトに寄生して病原性を示すものとしては,ツェツェバエによって媒介され,アフリカ睡眠病を起こす T. gambienseT. rhodesiense,サシガメによって媒介され,中南米のシャーガス病を起こす T. cruzi があり,高い死亡率を示すことから,熱帯医学上重要視されている。

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百科事典マイペディアの解説

トリパノソーマ

鞭毛(べんもう)虫類に属する原虫。体長10〜30μmの細長い紡錘形で,1本の鞭毛を有し,多くは脊椎(せきつい)動物の体内で分裂により増殖。人間に対して病原性をもつ種類には,アフリカ睡眠病の病原体でツェツェバエの媒介するトリパノソーマ・ガンビエンセ,南米のシャガス病の病原体でサシガメ科の昆虫の媒介するトリパノソーマ・クルジなどがある。
→関連項目エールリヒ

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世界大百科事典 第2版の解説

トリパノソーマ【Trypanosoma】

鞭毛虫類に属する原虫の1属。長さ10~30μmで,細長い両端がとがった形をしていて,体のほぼ中央に核を1個もつ。1本の鞭毛が体に沿って走っていて,鞭毛と体表との間には波動膜と呼ばれる膜が形成される。鞭毛の端は,体表を離れて遊離鞭毛となる。トリパノソーマには多数の種類があるが,ヒトの血液や組織に寄生して病原性をもつものは数種である。トリパノソーマ・ガンビエンセT.gambienseおよびトリパノソーマ・ローデシエンセT.rhodesienseは,アフリカ睡眠病の病原体である。

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大辞林 第三版の解説

トリパノソーマ【Trypanosoma】

原生動物鞭毛虫類のトリパノソーマ科の総称。紡錘形で、一本の鞭毛と波動膜がある。アフリカ嗜眠病などの病原虫が含まれる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

トリパノソーマ
とりぱのそーま

肉質鞭毛(べんもう)虫門鞭毛虫亜門動物性鞭毛虫綱キネトプラスト目トリパノソーマ亜目の1属Trypanosomaで、単細胞性寄生動物。普通、脊椎(せきつい)動物と無脊椎動物の二つの宿主をもち、前者では血流中にトリポマステゴート型虫体で寄生するが、ある種のものでは、細胞内で球形無鞭毛のアマステゴート型虫体になるものもある。無脊椎動物宿主の大部分がツェツェバエ、サシガメ、アブなどの吸血性昆虫で、吸血によってその体内に入ったトリポマステゴートは、消化系内で変態してエピマステゴート型となり、増殖して個体数を増し、ふたたびトリポマステゴート型となって、次の吸血時にそれらは脊椎動物宿主に送り込まれて伝播(でんぱ)の役を果たす。もっとも目だつトリポマステゴート型虫体は、細長い柳葉状で体長10~70マイクロメートル、体中央部に1個の核と、体後端付近に1個のキネトプラストがあり、後者の近くからは1本の鞭毛が体側に沿って前方へ伸び、本体と鞭毛の間には波動膜が張られている。鞭毛は体前端では遊離して自由鞭毛となっている。縦割り二分裂または多分裂で増殖。脊椎動物に広く寄生し、300種以上が知られているが、アフリカ睡眠病の病原体T. gambienseT. rhodesiense、シャーガス病の病原体T. cruziなどは医学上、またウシやシカに被害を与えるT. theileriや、ウマの生殖器に炎症をおこすT. equiperdumなどは獣医学上とくに重要である。治療薬には、フラミン、ペンタミジン、ベンツニダゾールや、ニトロフラン剤「ニフルティモックス」などが有効である。[小山 力]

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