トルソ
とるそ
torso イタリア語
彫刻用語で胴部像のこと。木の切り株の意から転じて人体の胴、美術上は胴体部分のみの彫像をいう。ときに、四肢の一部を残したものもある。新古典主義時代に古代ギリシア・ローマ彫刻の模刻が盛んで、欠けた発掘品に倣って習作がなされていた。近代になってロダン以後、その量塊(マッス)のもつ造形性が認識され、独立した作品として制作されるようになった。彫刻が、具象物から離れていく一過程と考えられよう。
[三田村畯右]
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トルソ
torso
彫刻用語。ギリシア語のテュルソスに由来するイタリア語で,人間の「胴体」を意味する。美術においては,ギリシア,ローマの遺跡から発掘された,頭部,両腕,両脚の失われた古代遺品の彫像,あるいは最初から独自の美を認めそのように完成された彫刻をさす。後者は 19世紀に入ってから制作されるようになった。
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トルソ
①
未完、または特別の制作意図、あるいは
破損によって
首や
手足を欠いた胴体だけの彫像。〔外来語辞典(1914)〕
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トルソ
〈胴体〉という意のイタリア語から出た彫刻用語。19世紀に,首,手足などのない不完全ないし未完成の彫刻にすぐれた造形美があることが見出され,とくにロダン以降トルソが完成作品として造られるようになった。
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デジタル大辞泉
「トルソ」の意味・読み・例文・類語
トルソ(〈イタリア〉torso)
《人体の胴の意。「トルソー」とも》首・四肢のない、胴体だけの彫像。
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トルソ【torso】
彫刻作品(人体)で,頭部や腕,脚などを欠いたもの,また意図的に軀幹部のみを制作したもの。ギリシア語のテュルソスthyrsosに由来するイタリア語。ルネサンス期に多く発掘された古典古代の彫刻の多くは残欠作品であり,トルソであったが,それらは《ベルベデーレのトルソ》(バチカン美術館)の例が示すようにミケランジェロたちを刺激した。しかし,古代人はもちろん彫刻をあくまで完成された作品のみで評価したし,また,ルネサンス期の芸術家たちも,トルソを範として,いわば彫刻のスケッチというべきトルソのボツェットbozzetto(荒彫り習作)を制作したものの,それらを完成した芸術とはみなしていない。
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世界大百科事典内のトルソの言及
【胴】より
…賽(さい)を振る筒も胴で,賭博(とばく)の親を〈胴元〉または〈胴親〉という。彫刻でいうトルソは胴とほぼ同義であるが,この語はバッコス(ディオニュソス)の信者たちが用いた杖(つえ)を表すギリシア語テュルソスthyrsosに由来する。剣道で切りこむ〈胴〉は胸郭下部から骨盤の上までの腹部で,上下に〈一の胴〉〈二の胴〉と分けられる。…
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