トンネルダイオード

百科事典マイペディアの解説

トンネルダイオード

トンネル効果を応用したpn接合ダイオード。江崎玲於奈(れおな)の発明によるためエサキダイオードともいう。含有活性不純物濃度を高くしてあるので,順方向電圧を増大すると,トンネル効果により禁制帯を通過する電子が増加するが,ある電圧以上では電子の通過が減少し,電圧の増大とともに電流が減少する負性抵抗を示す。この電圧電流特性を利用して増幅,発振,検波などに用いられ(高周波特性がよいのでマイクロ波に好適),またスイッチングが高速なので超高速パルス回路,論理回路,記憶回路などに使用される。
→関連項目エサキダイオードダイオード能動素子

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典 第2版の解説

トンネルダイオード【tunnel diode】

縮退したp型およびn型半導体で形成されたp‐n接合では,空間電荷層の厚さが約100Å程度と薄いために電子のトンネル現象を生じ,順方向に電圧を加えたとき図に示すような負性抵抗を生ずるので,マイクロ波の発振,増幅や超高速スイッチングに使用される。この素子をトンネルダイオード,またはこの現象を1957年に発見した江崎玲於奈の名を冠しエサキダイオードEsaki diodeともいう。p‐n接合では電圧を加えるとトンネル効果により電流が流れ始めるが,順電圧を大きくしていくとトンネル電流が減少して負性抵抗が現れ,さらに順電圧を大きくすれば少数キャリアの注入電流が流れ出すので,電圧制御型の負性抵抗を生ずる。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

化学辞典 第2版の解説

トンネルダイオード
トンネルダイオード
tunnel diode

トンネル効果を利用したダイオード.発明者の江崎玲於奈の名をとってエサキダイオードともいう.p-n接合における障壁の厚さは,接合部の不純物密度が大きくなるほど薄くなる.p領域,n領域ともに縮退するまで不純物濃度を大きくした接合で,順方向にわずかに電圧を加えた場合を考えると,図(a)のように,n領域の伝導帯の電子は接合の厚さが非常に薄いので,p領域の価電子帯内の空の準位にトンネル効果によって遷移して電流が流れる.しかし,印加電圧を増していくと,電子にとって遷移できる空の準位がなくなってしまうため,トンネル電流は流れることができず電流はかえって減少し,さらに電圧を増すと普通のp-n接合の順方向電流が流れる.逆方向に電圧を加えたときは,p領域の価電子帯の電子が,n領域の伝導帯の空の準位にトンネル効果によって遷移する.以上のことからトンネルダイオードの電流-電圧特性は図(b)のようになる.トンネル電流は時間的遅れがないので,この素子は高速度スイッチやマイクロ波発振に使われる.また,トンネル電流のピーク値は静水圧によって変化するので,感圧素子としても使える.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

今日のキーワード

野球の用語

アウトサイド・コーナー outside corner 打者から見て本塁上の遠い側。外角。和製英語ではアウトコーナーともいう。アシスト assist打者が打った球を捕球後にある塁に送球し走者の刺殺を間接...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android