論理演算を行うディジタル電子回路。ロジック回路,論理ゲートまたは単にゲートなどとも呼ばれる。ディジタル回路を論理機能面からとらえた場合の名称である。論理和(OR(オア)),論理積(AND(アンド)),否定(NOT(ノツト)),遅延(D)などの基本構成要素となる単位回路(これを論理素子と呼ぶ)を有機的に結線・集合させることにより各種の複雑な機能を作ることができる。この接続法を考えることを論理設計という。複数個の論理素子からなる論理回路で固有な機能をもち集団として取り扱われるものを論理ブロックと呼ぶ。その代表的なものに加算器,計数器,レジスター,エンコーダー,デコーダーなどがある。論理素子相互間の論理的接続を示す図は論理図と呼ばれる。1と0の2値論理入力の組合せと,出力となる1と0の論理値との対応関係を論理関数と呼び,それを表形式に表したものを論理関数表または真理値表という。入力端子が2個の代表的論理素子の真理値表と記号(シンボル)を表に示す。排他的論理和回路は反一致回路とも呼ばれ,その否定は論理値の一致検出に使用される。各種のフリップフロップ回路も重要な基本要素として多用される。表中にQnと表したものは時刻nにおける状態を示し,Qn+1は入力のあった次の時刻の状態を表す。フリップフロップ回路は現在の入力だけでは出力が定まらず,入力印加前の状態と合わせた条件で出力値が決定される。このような論理回路を順序回路という。これに対して入力値の組合せだけで出力値が決定するものを組合せ回路という。OR,AND,NOT,NAND(ナンド)ゲートなどは後者である。初期のコンピューターなどにはAND-ORとゲートを直列接続した加法標準形の論理回路が基本回路として広く使用されていたが,半導体集積回路が使用されはじめてからNANDやNOR(ノア)の素演算形ゲートが高速性や反復性のよさから主流となっている。ディジタル回路および装置相互間の動作に時間的基準点を与え,同期をとるために使用する周期的パルス信号をクロックパルス(刻時パルス)と呼び,クロックパルスに歩調を合わせて動作するものを同期式装置,そうでないものを非同期式装置と分類する。装置各部に所望の論理動作を行わせるための逐次的処理手順を図式化したものを流れ図とかフローチャートと呼ぶ。1と0の二進情報のみを取り扱う電子回路の基本動作とそれを組み合わせたときの入出力の関係は,現代哲学の一部である記号論理学,数理論理学ですでに明確にされていた真と偽のみを取り扱う命題論理のさまざまの性質とまったく同一であり,それに立脚し利用してディジタル回路工学が発展したので,論理学に使用されていた用語がこの分野ではそのまま使用されているものが多い。多数決論理を基本とした論理回路もある。
執筆者:川又 晃
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コンピュータなどにおいてAND(アンド)、OR(オア)、NOT(ノット)をはじめとするさまざまな論理演算を行うための回路のこと。論理演算回路ともいう。基本的な論理演算を行う回路のことを論理ゲートgateとよぶこともある。もっとも単純な論理回路はランプを点滅するスイッチ回路であり、ランプの点灯と消灯とを1と0に対応させることができる。0または1の入力を反転するものがNOT(否定)回路であり、二つの入力の論理和や論理積を出力するものがそれぞれOR回路とAND回路である。AND回路の出力をNOT回路に入力するようにして一体の回路としたものがNAND(ナンド)回路であり、OR回路とNOT回路を組み合わせたものがNOR(ノア)回路である。このように、基本的な論理回路を組み合わせることによって、パリティ(XOR(エックスオア))回路や多数決回路などのより複雑な論理演算回路をつくりあげることができる。
[山本喜一]
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