トンネル効果を利用したダイオード.発明者の江崎玲於奈の名をとってエサキダイオードともいう.p-n接合における障壁の厚さは,接合部の不純物密度が大きくなるほど薄くなる.p領域,n領域ともに縮退するまで不純物濃度を大きくした接合で,順方向にわずかに電圧を加えた場合を考えると,図(a)のように,n領域の伝導帯の電子は接合の厚さが非常に薄いので,p領域の価電子帯内の空の準位にトンネル効果によって遷移して電流が流れる.しかし,印加電圧を増していくと,電子にとって遷移できる空の準位がなくなってしまうため,トンネル電流は流れることができず電流はかえって減少し,さらに電圧を増すと普通のp-n接合の順方向電流が流れる.逆方向に電圧を加えたときは,p領域の価電子帯の電子が,n領域の伝導帯の空の準位にトンネル効果によって遷移する.以上のことからトンネルダイオードの電流-電圧特性は図(b)のようになる.トンネル電流は時間的遅れがないので,この素子は高速度スイッチやマイクロ波発振に使われる.また,トンネル電流のピーク値は静水圧によって変化するので,感圧素子としても使える.
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縮退したp型およびn型半導体で形成されたp-n接合では,空間電荷層の厚さが約100Å程度と薄いために電子のトンネル現象を生じ,順方向に電圧を加えたとき図に示すような負性抵抗を生ずるので,マイクロ波の発振,増幅や超高速スイッチングに使用される。この素子をトンネルダイオード,またはこの現象を1957年に発見した江崎玲於奈の名を冠しエサキダイオードEsaki diodeともいう。p-n接合では電圧を加えるとトンネル効果により電流が流れ始めるが,順電圧を大きくしていくとトンネル電流が減少して負性抵抗が現れ,さらに順電圧を大きくすれば少数キャリアの注入電流が流れ出すので,電圧制御型の負性抵抗を生ずる。
執筆者:菅野 卓雄
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「エサキダイオード」のページをご覧ください。
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