トンボー(読み)とんぼー(その他表記)Clyde William Tombaugh

日本大百科全書(ニッポニカ) 「トンボー」の意味・わかりやすい解説

トンボー
とんぼー
Clyde William Tombaugh
(1906―1997)

アメリカの天文学者。冥王(めいおう)星の発見者。イリノイ州に生まれ、貧農家業を助けつつ、趣味で望遠鏡を自作し、火星スケッチなどを行った。その熱心さから1929年ローウェル天文台の助手に採用され、かねてローウェルが推定していた海王星外の惑星を捜索することに専念した。彼は未知惑星の視運動を利用して探査することを試みた。すなわち、同一視野を時期を隔てて撮影し、それら写真乾板を交互に同一映写幕へ投影し、位置の交替移動によって検出する方法を考案した。1930年2月ついに発見に成功し、プルートー冥王星)と名づけた。小惑星、変光星、星団、星雲も発見、諸大学から講義に招かれた。冥王星は長い間惑星の一つとされたが、2006年8月の国際天文学連合(IAU:International Astronomical Union)総会において、自身の軌道周辺にほかの天体衛星を除く)がある、との理由で太陽系の惑星とせず、惑星より小さな準惑星(じゅんわくせい)とするとの決定がなされている。

[島村福太郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トンボー」の意味・わかりやすい解説

トンボー
Tombaugh, Clyde W.

[生]1906.2.4. イリノイストリーター
[没]1997.1.17. ニューメキシコ,ラスクルーセス
アメリカ合衆国の天文学者,冥王星の発見者。アリゾナ州フラッグスタッフのローエル天文台の観測助手,アリゾナ州立大学の科学普及員,ホワイトサンズ・ミサイル試験場の光学物理学者兼天文学者を経て,1961~65年ニューメキシコ州立大学地球科学科助教授,1965~73同教授を務め,1973年以降名誉教授。他の天文学者の予想に基づき,第9惑星の系統的な探索を行ない,1930年に冥王星を発見した。このほか,恒星集団や銀河集団 (→銀河系 ) を発見したり,系外銀河の分布を測定したり,火星金星木星土星の表面の観測を行なった。著書に『地球の小さな衛星を探して』 The Search for Small Natural Earth Satellites (1959) ,『暗黒から──惑星冥王星の発見』 Out of Darkness: The Planet Pluto (1980。パトリックムーア共著) 。

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世界大百科事典(旧版)内のトンボーの言及

【葬送行進曲】より

…通常の行進曲よりも,葬列の歩調に合わせるためにゆっくりしたテンポをもち,おごそかな気分を表すため短調の作品が多い。起源はフランス鍵盤音楽の死者を悼む作品〈トンボーtombeau〉にさかのぼり,ヘンデルのオラトリオ《サウルSaul》(1738)の《死者の行進》に初期の例が見られる。これはまだ長調の作品であるが,短調の葬送行進曲はベートーベンの《ピアノ・ソナタ》作品26第3楽章《ある英雄の死を悼む葬送行進曲》と《第3交響曲》第2楽章によって確立された。…

※「トンボー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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