日本大百科全書(ニッポニカ) 「未知惑星」の意味・わかりやすい解説
未知惑星
みちわくせい
現在知られている太陽系の八大惑星(2006年8月の国際天文学連合総会以前は冥王星を含み九大惑星といわれた。この総会で冥王星を太陽系の惑星ではなく、準惑星とする旨、決定された)のほかに、まだ存在するかもしれないとされている大惑星。天王星の運動が不規則なことから、その外側を公転する未知の惑星の引力の影響であろうと考えられ、その位置が推算された結果、1846年に海王星が発見されたことはよく知られている。海王星の発見とその影響の判明したのちも天王星の運動になお若干の乱れが残ることから、海王星のさらに外側に未知惑星が存在するのではないかということで何人かの人がその予報を試みた。なかでもP・ローウェルは熱心にこれを研究した。その結果により1930年に冥王(めいおう)星が発見されたとされてきたが、近年の観測により冥王星の質量は予想よりはるかに小さいことが判明し、その発見は偶然であったことになった。周期彗星(すいせい)の運動やそれらの遠日点の分布などから、冥王星のさらに遠方に大惑星の存在を予想する人もあるが、現在確実な証拠はない。太陽にもっとも近い水星のさらに内側に大惑星が存在すると考えられたこともある。その根拠とされた水星軌道の遠日点がしだいに前進する現象は相対性理論によって説明され、今日ではその存在は否定されている。
[村山定男]