アメリカの経営学者。オーストリア生まれ。ハンブルク大学およびフランクフルト大学に学んだが、ナチスへの不信から渡英、保険会社の顧問などを務めたのち、さらに新天地を求めて1937年渡米。『経済人の終り』(1939)、『産業にたずさわる人の未来』(1942)、『会社という概念』(1946)の著作によって有名になり、『現代の経営』(1954)において不動の地位を築いた。経営コンサルタントとして活躍する一方、42年ベニントン大学教授、50年ニューヨーク大学教授、71年クレアモント大学教授となった(~2003)。彼は、現代を大量生産原理に立脚した高度産業社会としてとらえ、そのなかで社会的制度としての企業の本質を理解し、それに即した経営管理のあり方を展開した。企業は営利心と無関係に存在し、損失回避と生産高増大を二大指導原理とする存在であるとの制度派的企業観は、アメリカでは数少ない体系性と歴史性をもった経営理論である。日本へも大きな影響を及ぼした。
[森本三男]
『『ドラッカー全集』全5巻(1972・ダイヤモンド社)』▽『ドラッカー著、上田惇生・佐々木実智男訳『イノベーションと企業家精神』(1985・ダイヤモンド社)』▽『ドラッカー著、現代経営研究会訳『現代の経営』新装版・上下(1987・ダイヤモンド社)』▽『ドラッカー著、上田惇生他訳『ポスト資本主義社会』(1993・ダイヤモンド社)』▽『ドラッカー著、上田惇生訳『断絶の時代』新版(1999・ダイヤモンド社)』▽『ドラッカー著、牧野洋訳『ドラッカー 20世紀を生きて――私の履歴書』(2005・日本経済新聞社)』▽『河野大機著『ドラッカー経営論の体系化』上下(1994、95・三嶺書房)』
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