改訂新版 世界大百科事典 「ニキビダニ」の意味・わかりやすい解説
ニキビダニ
Demodex folliculorum
人の皮膚の毛包に寄生するニキビダニ科のダニで,毛包虫あるいは毛囊虫とも呼ばれている。体長は0.3mm,幅0.05mmほどの細長い芋虫状の虫体で,乳白色ないし淡褐色を呈する。顎体部は小さく,前胴体部には退化した4対の脚を有し,第4脚から後方の胴体部は伸長し環節状の横輪紋がある。雌の生殖門は腹面にあるが,雄では胴部背面に開口している。生活史は卵,幼ダニ,前若ダニ,後若ダニ,親ダニの5期よりなり,いずれも毛包に寄生する。世界に広く分布し,人での好発部位は顔面で,とくに鼻,まぶたに多く,化膿菌による二次感染で膿疱(のうほう)を形成することがある。感染は接触などによる機械的な方法によって行われる。このほか各種動物にそれぞれイヌニキビダニD.canis,ネコニキビダニD.cati,ブタニキビダニD.phylloidesなどの寄生が見られるが,いずれも本種の変種と考えられる。
執筆者:金子 清俊
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報