ケダニ(読み)けだに(その他表記)velvet mites

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ケダニ」の意味・わかりやすい解説

ケダニ
けだに / 毛蜱
velvet mites

節足動物門クモ綱ダニ目ケダニ亜目ナミケダニ科Trombidiidaeの大形ダニの総称。体長1~3ミリメートル、全体に鮮紅色、赤色、赤橙(せきとう)色などで、全身にじゅうたんのように短い毛を密生する。背面前方に1対または2対の目をもつものが多い。触肢(しょくし)は太く、第1脚の付節も太い。山地多く地表、落葉下、コケの間などにすみ、大形で色彩がはでなため、歩いている人の目にもとまる。昆虫の卵や小さな虫を捕食する。幼虫成虫とはまったく異なる生活をし、昆虫に寄生する。全世界に300種以上知られ、日本にはタキケダニCamerotrombidium takii、フタゲケダニParatrombium bidactylusなど少なくとも十数種いる。

 広義にはケダニ亜目(前気門亜目)を意味し、この場合には、捕食性のテングダニツメダニツツガムシ病を媒介するツツガムシ農林害虫として知られるハダニフシダニ、水中生活をするミズダニなど、さまざまなダニが含まれる。

青木淳一

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改訂新版 世界大百科事典 「ケダニ」の意味・わかりやすい解説

ケダニ

ケダニ亜目の中でナミケダニ科,ツツガムシ科,タカラダニ科など,やや大型なダニの総称。成虫は体長1.5~3mm,体全体にベルベットのように毛を密生する。胴部の前方に1~2対の眼をもつものもある。美しい赤色の種類が多いためによく目だち,5~6月のころに山野を歩いていると,地面をはっている姿をよく見かける。人や鳥獣の血を吸うことはなく,微小な昆虫や昆虫の卵を食べて生活している。幼虫は体長1~2mm,体は橙色朱色で,体の毛はまばらである。幼虫時代はすべて寄生生活を送る。ツツガムシ科の幼虫は爬虫類,鳥類,哺乳類に寄生し,ツツガムシ病の媒介者として有名である。他の科の幼虫は節足動物に寄生し,アリマキタカラダニはアブラムシに,セミタカラダニはセミやアブに,ヤマトタカラダニはイナゴなどに付着している。あたかも昆虫が宝物を身につけているようなのでタカラダニという名ができた。なお,広義にはケダニ亜目全体を指す。
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百科事典マイペディア 「ケダニ」の意味・わかりやすい解説

ケダニ

前気門(ケダニ)亜目に含まれるいくつかの科に属するダニの総称。多くは赤色で,成虫,若虫は自由生活を営み,幼虫は節足動物(ツツガムシ科のみ脊椎動物)に寄生する。またツツガムシの俗称として用いられることも多い。

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