ニトリロ三酢酸(読み)にとりろさんさくさん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ニトリロ三酢酸」の意味・わかりやすい解説

ニトリロ三酢酸
にとりろさんさくさん
nitrilotriacetic acid

分析試薬の一つ。ニトリロトリ酢酸アンモニア三酢酸、トリス(カルボキシメチル)アミンなどともいう。略称NTA。アンモニアとクロロ酢酸とからシアン化カリウムホルムアルデヒドの作用で得られる無色結晶で、冷水に難溶。アルカリ土類金属、マグネシウム、重金属イオンと水に溶けやすい安定な一対一の錯塩をつくる(配位子としてはntaH3と略記)。錯塩の安定度はエチレンジアミン四酢酸EDTA)より劣る。二ナトリウム塩はキレート滴定用の試薬として使われている。

[務台 潔]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「ニトリロ三酢酸」の解説

ニトリロ三酢酸
ニトリロサンサクサン
nitrilotriacetic acid

N,N-bis(carboxymethyl)glycine.C6H9NO6(191.14).N(CH2COOH)3.略称NTA.アンモニア三酢酸ともいう.アンモニアとクロロ酢酸あるいはアンモニア,ホルムアルデヒド,シアン化カリウムから得られる.白色の結晶.分解点242 ℃.pK1 1.89(COOH),pK2 2.49(COOH),pK3 9.73(NH).水に微溶.アルカリ土類金属や遷移金属水溶性の安定なキレート錯体をつくる.安定度はEDTAの場合より低いが,より安価で自然に分解されやすいので,硬水軟化剤,界面活性剤用添加剤,放射性汚染除去剤として使用される.[CAS 139-13-9]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

栄養・生化学辞典 「ニトリロ三酢酸」の解説

ニトリロ三酢酸

 C6H9NO6 (mw191.14).N(CH2COOH)3キレート剤として金属イオンのマスキングに使われる.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

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