日本大百科全書(ニッポニカ) 「クロロ酢酸」の意味・わかりやすい解説
クロロ酢酸
くろろさくさん
chloroacetic acid
脂肪族カルボン酸の一つで、酢酸の塩素置換体にあたる。潮解性の無色結晶。工業的にはトリクロロエチレンを90%硫酸中に通し加水分解することにより製造する。硫黄(いおう)などを触媒とし酢酸を塩素化することによっても合成できる。3種の結晶形があり、それぞれ融点が異なる。水に溶け、水溶液は酢酸より酸性が強い。塩素原子は置換されやすく、アンモニアとの反応によりグリシンを、シアン化アルカリとの反応によりシアン酢酸を生成する。セルロースとの反応によるカルボキシメチルセルロース(CMC)合成に用いられる。皮膚、粘膜を冒す。
[谷利陸平]
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