クロロ酢酸(読み)くろろさくさん(英語表記)chloroacetic acid

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クロロ酢酸」の意味・わかりやすい解説

クロロ酢酸
くろろさくさん
chloroacetic acid

脂肪族カルボン酸の一つで、酢酸塩素置換体にあたる。潮解性の無色結晶。工業的にはトリクロロエチレンを90%硫酸中に通し加水分解することにより製造する。硫黄(いおう)などを触媒とし酢酸を塩素化することによっても合成できる。3種の結晶形があり、それぞれ融点が異なる。水に溶け、水溶液は酢酸より酸性が強い。塩素原子は置換されやすく、アンモニアとの反応によりグリシンを、シアン化アルカリとの反応によりシアン酢酸を生成する。セルロースとの反応によるカルボキシメチルセルロースCMC)合成に用いられる。皮膚、粘膜を冒す。

[谷利陸平]


クロロ酢酸(データノート)
くろろさくさんでーたのーと

クロロ酢酸

 分子式  C2H3ClO2
 分子量  94.5
 融点   α 62.3℃
      β 56.2℃
      γ 50.2℃
 沸点   187.85℃
 屈折率  (n)1.4330

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クロロ酢酸」の意味・わかりやすい解説

クロロ酢酸
クロロさくさん
chloroacetic acid

モノクロロ酢酸ともいう。化学式 ClCH2COOH 。ヨウ素赤リンなどの存在下で酢酸に塩素を作用させるか,トリクロロエチレンを硫酸で処理することによって得られる潮解性の結晶。融点が 61.3℃,56.2℃,52.5℃の3種の結晶がある。水,エチルアルコール,ベンゼンに可溶。沸点 189℃。この酸およびそのアルカリ塩またはアンモニウム塩の組合せは緩衝溶液として使われる。

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