改訂新版 世界大百科事典 「ハキリバチ」の意味・わかりやすい解説
ハキリバチ (葉切蜂)
膜翅目ハナバチ上科ハキリバチ科Megachilidaeの昆虫の総称。体長5~30mm。母バチは花からもち帰った花粉と花みつをこね合わせてだんごをつくり,房室に蓄え,その上に産卵する。孵化(ふか)した幼虫は,貯蔵された花粉だんごを食べて成長する。巣は竹筒や,樹木の空洞,ちょっとした自然物の隙間などを利用して設けられることが多いが,ときには,土中に坑道を掘って巣をつくる種類もいる。
多くの種は,切りとってきた草や木の葉片を重ね合わせてコップ状の房室をつくる。葉片は卵形と円形の2種類に切断されていて,卵形のものは花粉だんごを蓄えるコップの周囲や底の原料となり,円形の葉片はその上に卵を産みおえた後の蓋となる。ハキリバチの仲間でも,ヤニハナバチ属Chalicodomaの種は,葉片の代りに,もっぱら樹脂や,葉片をかみつぶしたパルプ,泥などを利用する。また,ツツハナバチ属Osmiaの多くの種は,竹筒に葉片をかみつぶしたパルプで仕切壁を設けて房室をつくる。
巣づくりのために,園芸用の草木の葉などに被害を与えるが,一方では,植物の授粉に大きな役割も果たしていると考えられている。
執筆者:桃井 節也
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報