ハブ空港(読み)ハブクウコウ

デジタル大辞泉 「ハブ空港」の意味・読み・例文・類語

ハブ‐くうこう〔‐クウカウ〕【ハブ空港】

hub車輪中心部の意》各地からの航空路が集中し、乗客や貨物目的地に中継する機能をもった、その地域の拠点となる空港。

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精選版 日本国語大辞典 「ハブ空港」の意味・読み・例文・類語

ハブ‐くうこう‥クウカウ【ハブ空港】

  1. 〘 名詞 〙 ( ハブは[英語] hub ) 世界各地からの航空路が集中し、乗客や貨物を目的地に中継する機能をもった、その地域の拠点となる空港。

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知恵蔵 「ハブ空港」の解説

ハブ空港

航空ネットワークの中核となる空港。放射線状に伸びる空港網を車輪のスポークと見なし、その中心にあるハブにたとえた名称。また、各航空会社が拠点としている空港を指すこともある。代表的な国際ハブ空港は、米国・ニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港、英国・ロンドンヒースロー空港オランダアムステルダムスキポール空港アラブ首長国連邦ドバイ国際空港シンガポールチャンギ国際空港など。
1970年代、アメリカの大手航空会社が輸送効率を高めるため、国内の主要都市の空港に拠点を置き、乗り継ぎを前提として、地方都市に多くの路線を延ばしたハブ・アンド・スポーク・システムが始まりである。その代表が6本の滑走路を持つシカゴ・オヘア国際空港。国内線の便数も多く、内際および内々乗り継ぎ者であふれる巨大ハブ空港として知られる。
アジアでは、98年に中国・香港国際空港、99年に中国・上海浦東国際空港、2001年に韓国・仁川国際空港と大規模空港の開港が相次いだ。いずれも国際ハブ空港と位置づけられ、国策によって建造された空港である。中でも香港国際空港と仁川国際空港は、アジアと欧米を結ぶ便が多く、利便性・安全性の両面に優れているため、毎年実施される国際空港評議会(ACI)の総合評価では常にトップを争っている。
世界的な航空自由化(オープンスカイ)の流れもあり、こうしたアジア圏ハブ空港の座をめぐる争いは激化しているが、日本の空港は大きく後れを取っている。自民党政権下の航空行政は、成田国際空港を国際線、羽田空港(東京国際空港)を国内線とする「内際分離」を原則にしてきた。成田国際空港はゲートウェイ空港(玄関口となる空港)としては機能しているが、発着料金の高さ、都心からのアクセスの悪さ、滑走路の少なさ(2本のみ)、発着時間の制限(夜間早朝の離発着は不可)という欠点があり、国際ハブ空港としての役割を期待することはできない。
そこで浮上しているのが、都心に近接する羽田空港のハブ空港化案である。2010年秋には、第4滑走路が開通する予定で、その発着枠を国際線に振り分け、羽田空港の国際空港化を推し進めるという構想。09年10月、民主党の前原誠司国土交通大臣は、従来の「内際分離」の基本方針を見直し、羽田空港の国際線発着枠を拡大することを発表している。一方、成田国際空港や関西国際空港の地位低下は避けられず、各地元からは強い反発の声が上がっている。

(大迫秀樹  フリー編集者 / 2009年)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハブ空港」の意味・わかりやすい解説

ハブ空港
はぶくうこう
hub airport

航空機の乗り継ぎの拠点となる空港のことで、航空路線ネットワークのあり方を自転車の車輪に見立てて表現したもの。自転車の車輪において、軸受け(ハブ)からスポークが放射状に延びているように、ハブ空港から放射状に路線を展開することをハブ・アンド・スポークシステムという。

 国内線の路線ネットワークでも用いられる用語であるが、主として国際線において重要視される観点であり、自国の空港を国際的なハブ空港として位置づけるべく国際間競争が生じている。国際ハブ空港となるためには24時間運用は必須であり、長大な滑走路を多く保有していることが条件となる。そうした空港としては、長年名声を得てきたシンガポールのチャンギ国際空港に加え、近年はその地政学的優位性もあり、アラブ首長国連邦のドバイ国際空港やカタールのハマド国際空港(新ドーハ国際空港)など、中東の空港が台頭、注目されている。

[戸崎 肇 2023年4月20日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハブ空港」の意味・わかりやすい解説

ハブ空港
ハブくうこう
hub airport

車輪の中心のハブにスポークが集まっているように,さまざまな地域からの航空路が1ヵ所に集まり,人や物がそれぞれの目的地に向かって乗り換えや積み替えできるような拠点空港をいう。元来はフェデラル・エクスプレス航空の貨物の積み替えシステムから始まったものだが,旅客輸送にも応用されるようになった。このような拠点空港を中心とする航空路線網を「ハブ・アンド・スポーク・システム」 hub and spoke systemと呼び,1980年代後半から大手航空会社の多くが輸送効率を高める手段として採用し,世界中に普及した。しかし貨物輸送には適するが,旅客の立場からすれば目的地に直接飛ぶことができず,いったんハブ空港で乗り換えなければならないなど,時間がかかって不便という不満も出てきた。さらに旅客機自体も航続距離が伸びて,国際長距離便も途中で燃料補給をすることなく直接目的地へ飛べるようになり,中型長距離旅客機による「ポイント・トゥー・ポイント」 point to pointの路線も増える傾向にある。

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百科事典マイペディア 「ハブ空港」の意味・わかりやすい解説

ハブ空港【ハブくうこう】

拠点となる空港。自転車の車輪軸受け(ハブhub)とスポークのように,放射状に航空路線が展開されている空港のこと。空港どうしをばらばらに結ぶ場合に比べ,限られた航空機を効率的に使うことができる。乗客にとっては,いったん乗り換える必要があるが,便数や路線が充実した航空サービスを享受できる利点がある。
→関連項目永宗島空港

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