ハンザ同盟都市リューベック(読み)ハンザどうめいとしリューベック

世界遺産詳解 の解説

ハンザどうめいとしリューベック【ハンザ同盟都市リューベック】

1987年に登録された世界遺産文化遺産)。リューベックはドイツ北部シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州の港湾都市。盟主として400年以上にわたりハンザ同盟の歴史を支えた。14~15世紀には200を超える加盟都市を擁したハンザ同盟は、地中海沿岸を除く全ヨーロッパで商業活動を展開し、軍事力や政治力の面でも一大勢力となる。ハンザ同盟を率い、神聖ローマ皇帝によって認められた帝国自由都市として隆盛を極めたリューベックは「バルト海の女王」と呼ばれた。ノルウェーに商館を築いて鱈(たら)の貿易で大きな利益をあげ、リューネブルク岩塩傘下に収めて塩漬け鰊(にしん)でも独占的に貿易を行っている。フランドル地方の織物、ドイツの木材、ポーランド穀物、ロシアの毛皮なども重要な交易品であった。しかし17世紀になるとハンザ同盟の勢力は衰え、リューベックも衰退していった。運河に挟まれた中世を思わせる町並みは美しく、古い建物がレストランなどに改造され観光客を出迎えている。旧市街入り口には1478年に建造されたホルステン門があり、中心には聖母マリア聖堂がそびえ、塩の倉庫も建ち並ぶ。またリューベックは小説家トーマス・マン(1875~1955年)が生まれた町としても知られる。『ブッデンブローク家の人々』はこの町に住んだ彼の一族モデルで、祖父の家は記念館になっている。ヨーロッパで重要な役割を果たした文化の価値が評価され、世界遺産に登録された。◇英名はHanseatic City of Lübeck

出典 講談社世界遺産詳解について 情報

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