翻訳|pagoda
ヨーロッパ人が東洋の仏塔などの高い塔状の宗教建造物をみて,それを指して呼んだ語。原語は明らかでない。スリランカのダゴバ,ミャンマーのパヤーあるいはゼーディ,タイのプラ・チェディー(仏塔)やプラ・プラーン(塔堂),中国の層塔やラマ教仏塔,日本の五重塔や三重塔を指して,広範囲に用いられる。インドのヒンドゥー教建築に見るシカラ(上部へと高く積み上げられる塔状のもの)も時に含むが,一般には仏教建築の仏塔(ストゥーパ)を指す。パゴダの祖形はインド中部のサーンチーに残る仏塔(前2世紀)を好例とする。その構造は,土まんじゅう型の塔身の上に方形の平頭がのり,さらにその上に傘蓋(さんがい)が立つという形式である。この三つの部分からなる基本的な形が,それ以降の時代的推移に伴って,あるいはさまざまな地域に伝播するに伴って,多種多様な形に変わっていった。仏塔は本来,その内部に釈尊の遺骨(仏舎利)を秘蔵した墓としての性格が濃かったが,仏教の思想上の発展とともに,仏法をおさめた建築へと展開していく。その展開には地理的に大きく2種類のルートが考えられる。インドより北へ伝播したものと,南への拡散である。北ルートは中国から日本へと展開し,南ルートはとくにスリランカを重要な起点として,東南アジアへと伝播した。有名なパゴダとしては,スリランカの古都アヌラーダプラのルワンワリサーヤ大塔(高さ約100m),ミャンマーのヤンゴンのシュウェダゴン大塔,タイのナコーンパトムのプラ・パトム・チェディー大塔などがある。
→塔
執筆者:伊東 照司
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
ミャンマー(ビルマ)で仏塔のことをいう。もとポルトガル語pagodeに由来するというが、異説もある。ビルマ語自身ではゼーディzediとかパヤーpayāという。パゴダには仏歯、仏髪を祀(まつ)ったもの、仏の8種の聖具を納めたもの、仏像を安置したもの、聖典を蔵したものの4種があるが、いずれも主として在家(ざいけ)信者の信仰の対象であり、また彼らの憩いや社交の場ともなっている。ヤンゴン(ラングーン)にあるシュエダゴン・パゴダは代表的なもので、金箔(きんぱく)で覆われた100メートルほどの円錐尖(えんすいせん)形の大仏塔である。
[森 祖道]
…また礼拝対象一般を指すチャイティヤと同義とされることもある。英語パゴダpagoda(フランス語pagode,ドイツ語Pagode)は東洋の高塔状宗教建造物,特にビルマ式のストゥーパを指す。仏教以前からあった墳墓に起源し,ジャイナ教徒も一時用いたが,仏教徒がその造立と崇拝に特に熱心であったために仏教固有のものであるかのようにみなされ,仏教寺院の最も重要な建造物としてアジア各地に多数の例がある。…
…スリランカは東南アジアに流布した上座部仏教の発祥地であり,その信仰とともにスリランカ風の仏教建築が東南アジアの各地域に伝わった。特にスリランカ様式の仏塔の形体は,ミャンマーとタイの建築に著しい影響を与えた(パゴダ)。ミャンマーでは特に11世紀以降のパガン朝(11~13世紀)に出現し,タイでは13世紀以降のスコータイ朝(13~15世紀)に現れる。…
…また礼拝対象一般を指すチャイティヤと同義とされることもある。英語パゴダpagoda(フランス語pagode,ドイツ語Pagode)は東洋の高塔状宗教建造物,特にビルマ式のストゥーパを指す。仏教以前からあった墳墓に起源し,ジャイナ教徒も一時用いたが,仏教徒がその造立と崇拝に特に熱心であったために仏教固有のものであるかのようにみなされ,仏教寺院の最も重要な建造物としてアジア各地に多数の例がある。…
※「パゴダ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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