フランスの日本研究家。パリに生まれた。雑誌《ユニベールL'univers》の共同編集者。中国駐在フランス公使館員として1847-51年中国に渡り,55年《ザビエル書簡集》2巻を訳刊して以来,日本研究を進め,59年に《日本図書目録》を,そして4巻からなる日本帝国史の稿を起こした。またフランスに日本への関心が高まっていたときでもあり,日本教会史に力を注ぎ,62年《日本二十六聖人殉教記》を,1869-70年に日本帝国史の第3巻に当たる《日本キリシタン宗門史》と付編《史料集》を,73年に《日本キリシタン迫害と日本遣欧使節記》を出した。その間1861年,クルティウス著ホフマン訂補の《日本文典》をキリシタン時代の日本文典で再訂補したものと,1603年長崎刊の《日葡辞書》をフランス語訳訂補,1862年の第1分冊から68年の第4分冊まで,6年を費やして《日仏辞典》を出すなど,先行の業績をさらに当代に生かした。
執筆者:海老沢 有道
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フランス人日本学者。パリで『Le Univers』誌の編集に従っていたが、北京(ペキン)公使館付きとして清(しん)国に在留中、日本キリスト教布教史に関心をもち、1855年『ザビエル書簡集』二巻、さらに『日本関係図書目録』(1859)を編刊した。ついで在日オランダ商館長クルティウスJ. D. Curtiusによる『日本文典』のホフマンJ. Hoffmann増訂版にキリシタン版文典類を参考した『日本文典』(1861)、『日本二十六聖人殉教記』(1862)、さらに1603年(慶長8)長崎刊の『日葡(にっぽ)辞書』のフランス語訳『日仏辞典』(1868)、『日本キリシタン宗門史』と史料編(1869~70)その他を刊行。その後の日本学研究の基を開いた。
[海老沢有道]
『吉田小五郎訳『日本切支丹宗門史』全三巻(岩波文庫)』
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…また日欧対訳辞書もはじめて現れた。《日葡(につぽ)辞書》(1603,のちパジェスLéon Pagèsが《日仏辞書》に改編した),《拉葡日(らほにち)辞典》(1595∥文禄4),《羅西日(らせいにち)辞典》などがあり,いずれもヨーロッパ式の体裁を整えたものである。これら〈キリシタン版〉はローマ字,表音的仮名遣い,詳しい語釈などがあるので,当時の日本語研究に有益である。…
…西洋における日本研究は,16世紀後半以降,キリスト教の日本への普及とともに始まり,19世紀後半から20世紀前半にかけてイギリスが,また太平洋戦争を契機としてアメリカが日本研究の中心となった。一方,ロシア・ソビエトは独自の伝統をもち,戦後はアジア諸国でも盛んになりつつある。 1549年(天文18)F.ザビエルの来日によってキリスト教の布教が開始されるとともに,イエズス会士による日本研究も始められた。イエズス会士の膨大な通信のほか,日本語に熟達したJ.ロドリゲスの《日本大文典》《日本小文典》を生み,1603年(慶長8)には長崎で《日葡辞書》が刊行され長く日本研究者の指針となった。…
…また日欧対訳辞書もはじめて現れた。《日葡(につぽ)辞書》(1603,のちパジェスLéon Pagèsが《日仏辞書》に改編した),《拉葡日(らほにち)辞典》(1595∥文禄4),《羅西日(らせいにち)辞典》などがあり,いずれもヨーロッパ式の体裁を整えたものである。これら〈キリシタン版〉はローマ字,表音的仮名遣い,詳しい語釈などがあるので,当時の日本語研究に有益である。…
…19世紀の文献学の隆盛期に日本学は〈盆栽的学問orchid science〉への傾向を強めた。この間フランス,イギリスの外交官のなかからは,L.パジェスをはじめ,E.M.サトー,W.G.アストンのような優れた日本学者となる人々が輩出し,B.H.チェンバレンをはじめ御雇外国人として来日したJ.マードック,L.ハーン(小泉八雲),アペールVictor George Appert,ブスケGeorge Hilaire Bousquet,サンソムGeorge Bailey Sansom(1883‐1965)らも日本の現実に基づいた研究の成果をあげたが,イギリス人を除いては本国の大学に戻れなかった。サンソムはイギリスでは教職に就かず,1935年,のちにハーバード大学と並んでアメリカの日本研究の中心の一つとなるコロンビア大学で教えた。…
※「パジェス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
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