ビジネス・エコノミックス(読み)びじねすえこのみっくす(その他表記)business economics

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ビジネス・エコノミックス
びじねすえこのみっくす
business economics

企業経済学と訳したり、マネジリアル・エコノミックス(経営者のための経済学)とよばれることもある。企業の経済的側面を研究対象にした理論であるが、そこに作用している法則性を客観的に記述するミクロ・エコノミックスと異なり、経営者や管理者という実践主体の立場から、彼らの意思決定に関する経済的諸問題を扱うことを特色としている。その意味では、マネジリアル・エコノミックスという名称のほうが適切である。

 一般に企業を利潤極大化を志向する経済単位としてとらえ、利潤(企業維持のための必要未来費用)を目的関数とし、収益・費用の変動を生産・販売量の関数と理解する。利潤を極大にする関数関係を解くために、需要、価格、生産過程、原価競争、販売促進などの関連を分析するが、その分析用具はほとんどがミクロ・エコノミックスのものである。ただ、分析視点が経営者や管理者の立場に置かれるから、取り上げられる主題は、需要分析の経済的意味と役だち方、経済的にみた製品多角化の望ましいあり方、価格政策の意味と製品性格に応じた価格決定方法、しだいに多用されるようになった非価格競争の意味と効果、広告・宣伝活動の経済的意味と効果、投資決定とその管理用具としての資本予算などになる。全体として数理的・統計的手法が多用されるが、実践的意味づけに努力する点で経済学一般と異なる。

[森本三男]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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