フェナントロリン

  • phenanthroline

百科事典マイペディアの解説

フェナントレンの2個の炭素原子を窒素原子で置換した化合物。3種類の異性体がある。o‐フェナントロリンは白色の結晶で,融点117℃,沸点300℃以上。エタノールに可溶。金属イオンと安定なキレート化合物を作り,特に第一鉄イオン(Fe2(+/))により赤色を呈する。金属の定量,酸化還元指示薬に使用。(図)

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世界大百科事典 第2版の解説

正式名は1,10‐オルトフェナントロリン。ニトロベンゼンと硫酸の共存下,o‐フェニレンジアミンとグリセリンの縮合で得られる。融点114~117℃。真空中で昇華すると単斜晶系の結晶となり,分子どうしは層状構造をとる。水から再結晶すると1分子の水を含み,融点93~94℃の白色結晶を与える。300倍の水,70倍のベンゼンに可溶で,アルコール,アセトンにはさらに容易に溶ける。多くの遷移金属イオンと美しい色の錯塩をつくり,とくに銅(I),鉄(II)の比色定量試薬として使われる。

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化学辞典 第2版の解説

C12H8N2(180.20).フェナントレンの二つのCHをNで置換した化合物で,3種類の異性体が存在する.【】1,7-フェナントロリン:m-フェニレンジアミンまたは7-アミノキノリンとグリセリンを用いるスクラウプ合成により生成する.2分子の結晶水を含む針状晶.融点65.5 ℃.無水物は融点78~78.5 ℃.熱水,エタノール,希無機酸に可溶,エーテル,ベンゼン,リグロインに不溶.塩酸塩,ピクラートなどの誘導体ができる.【】1,10-フェナントロリン:o-フェニレンジアミンまたは8-アミノキノリンのスクラウプ合成により生成する.1分子の結晶水を含む白色の結晶.融点93~94 ℃.無水物は融点117 ℃.水,ベンゼン,アルコール類,アセトンに可溶,石油エーテルに不溶.鉄,銅,コバルト,ニッケルなどと二座配位子としてキレートをつくる.鉄(Ⅱ)とは赤色錯塩 [Fe(C12H8N2)3]2+ をつくり,過マンガン酸塩滴定,セリウム(Ⅳ)滴定において酸化還元指示薬として用いられる.鉄(Ⅲ)錯塩は淡青色を呈する.【】4,7-フェナントロリン:p-フェニレンジアミンまたは6-アミノキノリンのスクラウプ合成により生成する.針状晶.100 ℃ で結晶水を失う.融点173 ℃.エタノール,クロロホルムに易溶,熱水に可溶,エーテル,ベンゼン,二硫化炭素に難溶.エタノール溶液に鉄(Ⅲ)を加えると赤黄色を呈する.塩酸塩,ピクラートなどの誘導体ができる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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