一つの物質が他の物質によって酸化あるいは還元される反応を利用する滴定をいう。容量分析法のなかでもっとも応用範囲が広い。
酸化作用をする物質、すなわち電子を奪うものを酸化剤といい、還元作用をする物質、すなわち電子を他に与えるものを還元剤という。標準液に酸化剤の溶液を用いて試料溶液を滴定するものを酸化滴定、還元剤の溶液を用いるものを還元滴定という。おもな酸化滴定には過マンガン酸塩滴定、二クロム酸塩滴定、セリウム(Ⅳ)滴定、ヨウ素酸化滴定などがあり、還元滴定には亜ヒ酸滴定、クロム(Ⅱ)滴定、チタン(Ⅲ)滴定、ヨウ素還元滴定などがある。滴定の終点を知るためには標準液自身の色、または指示薬(酸化や還元によって色が変化する物質を酸化還元指示薬という)の変色を利用する方法、電極による電位変化を追跡する方法などがおもなものである。
[高田健夫]
酸化還元反応を利用する滴定.滴定溶液が酸化剤として作用する場合を酸化滴定,還元剤として作用する場合を還元滴定という.酸化滴定には過マンガン酸カリウム,二クロム酸カリウム,硝酸セリウム(Ⅳ),ヨウ素酸カリウムが用いられ,還元滴定には亜ヒ酸,塩化チタン(Ⅲ),ヨウ素などが用いられる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…一般に滴定法が可能となるためには,当量点においてなんらかの量が急変することが条件となる。上では沈殿滴定の例をみてきたが,酸と塩基の反応を利用する中和滴定ではプロトンの濃度(pH),酸化還元滴定では電子を授受する化学種の濃度(電位に関係),キレート滴定では金属イオンまたはそれと錯体をつくる化合物(配位子)の濃度などが大きく変わる。それに伴う測定物理量から分類すると,電位差滴定,光度滴定,伝導度滴定,温度滴定,電流滴定などがある。…
※「酸化還元滴定」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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