ハンガリー生れの数学者。ブダペストに生まれワシントンに没す。ギムナジウムの先生が,〈ノイマンは数学に異常な才能をもっているから大学の教授に数学を教えてもらうように〉とノイマンの父(銀行家)に勧めたという。父がこの忠告に従ったためか,ノイマンは19歳のときには数学者として認められていたという。そして1927年から30年までベルリン大学やハンブルク大学の私講師の職についた。30年にはアメリカのプリンストン大学に教授として招かれ,33年には新設のプリンストン高級研究所教授となる。数学上の業績は,数学基礎論,測度論,群の上の概周期関数論などのほかに,《量子力学の数学的基礎》(1932)を著したことがあげられる。この書物で展開した抽象ヒルベルト空間論は,古典的な統計力学の数学的基礎付けとしてのエルゴード理論にも役だった。また経済学者モルゲンシュテルンO.Morgensternとの共著で《ゲームの理論と経済行動》(1944)を刊行した。さらに,流体力学や原子力の研究に用いるために新しい計算機を高級研究所の構内に作って,今日のノイマン方式のコンピューターの先駆となった。なお,上述の抽象ヒルベルト空間論に続いてノイマンが研究した作用素環の理論はここ数年の間に著しく進展しつつある。
執筆者:吉田 耕作
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…この仮説に厳密な公理体系による裏づけが与えられたのは,1950年代に入ってからである。すなわち,フォン・ノイマンとモルゲンシュテルンらの示したことは,結果に関する確率分布の順序づけが強い独立性公理を含む一組の公理体系に従うならば,事象の生起に関する主観的確率分布と結果を評価する基数的効用関数が存在して,その順序に確率と効用の積の総和として表される期待効用の水準を対応させることができるということであった。その後,期待効用理論は,ゲーム理論と密接に結びついて発展し,経済理論においてもフリードマンとサベッジは,基数的効用に関する限界効用逓減(逓増)性が危険回避(愛好)を意味することを明らかにし,アローとプラットは基数的効用関数の性質に基づく危険回避度の定義に成功するなど,マーコビッツ以降の資産選択理論をはじめとして,不確実性下の選択および経済制度の一般均衡的分析において中心的な役割を果たすに至っている。…
…原稿に相当する部分は増えるけれども機械そのものは増えない。ところが1948年ころ,数学者でありオートマトン理論の創始者の一人であるアメリカのJ.フォン・ノイマンが,生物以外に自己増殖する機械が構築可能であることを論理的に実証した。ここで論理的といったのは,実際に機械や電子回路など物理的手段でつくるのではなくて,理屈の上では可能という意味である。…
… 他方,1940年代から建設の始まったコンピューターは今日に至るまで驚異的な進歩を重ね続けている。J.フォン・ノイマンは現在ノイマン方式と呼ばれるプログラム内蔵方式のコンピューターの体系をいちはやく提案した。これはプログラムとデータとを初めにコンピューターに与えておき,あとはプログラムの指令に基づいてコンピューターが自動的に計算,制御,命令の変更などを逐次的に遂行する方式である。…
…名前はカジノで有名なモナコの都市モンテ・カルロに由来する。この方法が実用的な問題の解決に使われたのは,1940年代の中ごろ,フォン・ノイマンらによるのが最初で,命名も彼らによるとされている。本来は,確率的な変動要因を含まない問題を解くのに確率論的な手法(乱数)を使う方法に対して与えられた名称であるが,現在では乱数を使う方法の総称として使われることが多い。…
※「フォンノイマン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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