改訂新版 世界大百科事典 「フッド」の意味・わかりやすい解説
フッド
Mantle Hood
生没年:1918-2005
アメリカの民族音楽学者。カリフォルニア大学ロサンゼルス校で作曲を学んだ後,オランダに留学,アムステルダム大学でクンストについて民族音楽学とジャワの音楽を学ぶ。1954年アムステルダムで博士号取得後,帰国して母校で教鞭をとる。アジア・アフリカの諸民族の音楽を演奏体験することによってバイ・ミュージカリティ(複音楽性)を発達させ,これを音楽学研究の基礎とする彼のアプローチは,1950年代後半から若い音楽学学生を引きつけ,その主宰する民族音楽学研究所からは有能な民族音楽学者が輩出し,現在彼らがアメリカの主要な大学のいくつかで民族音楽学を講じている。主要著書に《ジャワ音楽における旋法決定因子としての中核主題The Nuclear Theme as a Determinant of Paṭet in Javanese Music》(1954)と《民族音楽学者The Ethnomusicologist》(1971)ほかがある。
執筆者:柘植 元一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報