ハズリット(その他表記)William Hazlitt

デジタル大辞泉 「ハズリット」の意味・読み・例文・類語

ハズリット(William Hazlitt)

[1778~1830]英国批評家随筆家。英国ロマン主義批評を代表する評論家一人シェークスピア劇や英国の詩人を論じた評論で知られる。著「時代の精神」「シェークスピア劇人物論」「英国詩人講義」など。

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改訂新版 世界大百科事典 「ハズリット」の意味・わかりやすい解説

ハズリット
William Hazlitt
生没年:1778-1830

イギリス・ロマン主義時代を代表する批評家,エッセイスト。非国教会派の牧師の息子で,はじめ画家を志したがコールリジラムらの文人との交友を通じて文学の道に進み,1810年代から20年代にかけて主として自由主義的な《エジンバラ・レビュー》《エグザミナー》誌によって活躍,保守的・古典主義的な《クオータリー・レビュー》の論敵であった。彼は個性の強い一人一党的な性格の持主であり,バイロンシェリーを低く評価するなど必ずしも一貫してロマン派を擁護する論陣を張ったわけではないが,文学において活力gustoを何よりも重んじ,またみずからの評論でも冷静な理論より即時の感興にまかせて筆を進める傾向など,全体としてロマン主義的な自我と感情の解放の立場をとった。彼の主観的・主情的な人物論と文学論の系譜にはド・クインシーやJ.H.L.ハントらがおり,19世紀後半のW.ペーターの〈印象主義〉につながっている。またシェークスピアは定まった個性体を持っていないという無個性論はキーツに強い影響を与えた。代表作としては《シェークスピア戯曲の性格について》(1817),《イギリス詩人論》(1818),《イギリス喜劇作家論》(1819),《エリザベス時代演劇論》(1820)などの連続講演があり,《円卓》(1817),《座談》(1821-22),《時代の精神》(1825)などに収められたエッセーのなかには,生き生きとした思想感情の横溢する傑作が含まれている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハズリット」の意味・わかりやすい解説

ハズリット
Hazlitt, William

[生]1778.4.10. ケントメードストン
[没]1830.9.18. ロンドン
イギリスの批評家,随筆家。父はユニテリアン派の牧師で,彼も牧師を志したが,コールリッジと知合い,文学に転じた。その間の経緯は,エッセー『詩人との最初の出会い』 My First Acquaintance with Poets (1823) に詳しい。またラムや L.ハントらとも親交があった。種々の雑誌に多くの評論,随筆を寄稿,断片的だが豊かな才能を示し,コールリッジと並ぶロマン主義批評の第一人者と認められる。主著『シェークスピア劇の登場人物』 Characters of Shakespeare's Plays (17) ,講演をまとめた『イギリス詩人論』 On the English Poets (18) ,『イギリス喜劇作家論』 On the English Comic Writers (19) ,『エリザベス朝の劇文学』 Lectures on the Dramatic Literature of the Age of Elizabeth (20) ,随筆集『座談』 Table Talk (21) ,『平話集』 The Plain Speaker (26) など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハズリット」の意味・わかりやすい解説

ハズリット
はずりっと
William Hazlitt
(1778―1830)

イギリスの批評家、随筆家。自由主義的傾向の強いユニテリアン派の牧師を父とし、初め聖職者、ついで画家を志したが、コールリッジ、ワーズワース、ラムとの交友から文学の道に進んだ。彼の作品は美術・演劇に関するもの、随筆の類、文学批評の3種に大別されるが、なかでも『シェークスピア劇の登場人物』(1817)、『エリザベス朝劇文学研究』(1820)などによって名声を得た。人物や人生を画家の鋭い視点から眺めた身辺雑記的小品にも捨てがたい味わいがあり、それらは『円卓』(1817)その他に収められている。イギリスで批評・雑文によって生計をたてた最初の作家であるといわれる。

[前川祐一]

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百科事典マイペディア 「ハズリット」の意味・わかりやすい解説

ハズリット

英国の評論家。牧師の子で画家を志したが文学に転向。コールリジワーズワースの友人。自由主義的立場で1812年ころから本格的な評論活動を開始。代表作は《シェークスピアの人物たち》(1817年)《イギリス詩人論》(1818年),随筆集《座談》(1821年―1822年)など。

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世界大百科事典(旧版)内のハズリットの言及

【シェークスピア】より

…ロマン主義批評は《シェークスピアの悲劇》(1904)の著者A.C.ブラッドリーによって集大成された。また,19世紀のシェークスピア批評は,W.ハズリットに代表されるいわゆる性格批評がその中心をなし,劇中人物の心理と行動原理が追究された。20世紀に入ると,こうした傾向に対する反動が強まり,一方においてアメリカのE.E.ストールやドイツのL.L.シュッキングらの歴史的実証主義に基づく研究,他方においてニュー・クリティシズムの一派による作品の詩的言語構造の精緻な分析に頼る批評が盛んになった。…

※「ハズリット」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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