フユアオイ(読み)ふゆあおい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フユアオイ」の意味・わかりやすい解説

フユアオイ
ふゆあおい / 冬葵
[学] Malva verticillata L.

アオイ科(APG分類:アオイ科)の多年草。茎は直立して高さ1.5メートルとなる。葉は互生し、長い柄があり、円形で5裂し、縁(へり)に鈍い鋸歯(きょし)がある。葉腋(ようえき)に白色に淡黄紫色を帯びた小形の花を叢生(そうせい)し、年じゅう花を絶たない。果実ゼニアオイの果実に似ているが、より小さい。中国や朝鮮半島では古くから葉を野菜としている。日本では上代文献にその名がみえるが、あまり普及しなかった。漢方では冬葵子(とうきし)と称し、種子利尿、緩下、催乳薬として用いる。アジアの亜熱帯原産で、温帯北部にまで栽培される。

[籾山泰一 2020年4月17日]

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世界大百科事典(旧版)内のフユアオイの言及

【アオイ(葵)】より

…徳川家の“葵の紋”のアオイはウマノスズクサ科のフタバアオイであるし,フウロソウ科のペラルゴニウム(テンジクアオイ)がアオイと呼ばれることもある。しかしアオイ科のタチアオイが,また江戸時代以降はフユアオイがアオイと呼ばれていることが多いので,この類について述べる。 フユアオイMalva verticillata L.(英名curled mallow)は中央アジア原産の大型一~二年草あるいは多年草で,観賞,食用または薬用とされる。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」