フラジョレット

百科事典マイペディア 「フラジョレット」の意味・わかりやすい解説

フラジョレット

音楽用語および楽器名。(1)バイオリンチェロなどのバイオリン族ギターハープなどの弦楽器の奏法の一つで,ハーモニックスともいう。弦長の1/2,1/3などの個所を軽く指でふれて奏することにより,弦全体が振動して倍音を発する。柔らかく透明な響きが得られ,特殊な音色効果を発揮する。開放弦による奏法のほか,弦長を変えてのより技巧的な奏法があり,独奏曲や協奏曲での独奏パートにしばしば用いられる。名称は(2)の楽器に音色が似ることに由来。(2)17−19世紀の英国フランスで流行したリードのない縦吹きの笛。16世紀後半に考案されたもので,前面に4個,裏面に2個の指孔がある。音域ピッコロにほぼ等しく,のち鍵を付けた型も誕生している。
→関連項目バイオリン

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改訂新版 世界大百科事典 「フラジョレット」の意味・わかりやすい解説

フラジョレット
flageolet

音楽用語および楽器名。

(1)バイオリン族,ギター,ハープなどの弦楽器で,透明で柔らかい音色を得る特殊な奏法。ハーモニックスともいう。弦長の1/2,1/3,1/4などの個所に軽く指を触れて発音させると基音を発生せず,1/2,1/3,1/4の分割振動のみ発生する。開放弦で行うもの(自然的)と,弦長を変えて行うもの(技巧的)とがある。

(2)17~19世紀のイギリス,フランスで流行したリコーダーに似た縦吹きの笛。前面に4個,裏面に2個の指孔がある。素朴な独奏楽器であるが,合奏では高域を受け持った。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フラジョレット」の意味・わかりやすい解説

フラジョレット
flageolet

(1) 木管楽器一種リコーダーに似た小さな楽器で,16世紀頃のフランスのものは,表に4個,裏に2個の音孔があったが,改良されてカドリーユ・フラジョレと呼ばれ,19世紀中頃に流行した。 18世紀のイギリスのものは,表に6個の音孔がある。なお同様の民俗楽器で便宜上フラジョレットと呼ばれるものもある。 (2) バイオリン属の弦楽器で,倍音の原理を利用して,弦の振動の節に左手の指をふれ軽く弓で弾くと得られるフラジョレット風の響き。ハープでも同様の奏法が行われることがある。

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世界大百科事典(旧版)内のフラジョレットの言及

【バイオリン】より

…原則として立って演奏するが,合奏の場合は腰掛けて演奏する。左手の基本的な技術のおもなものは,弦を押さえる手の位置を変えるポジションの移動と,弦を押さえた指を微妙に揺らせて個々の音にふくらみとニュアンスを与えるビブラート,弦に軽く触れて高い倍音を出すフラジョレットなどである。弦をはじくピッチカートは,左手と右手のどちらの指でも行う。…

※「フラジョレット」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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