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西洋の芸術音楽の用語で,管楽器のうち可視的な振動体をもたないもの(フルートの類)と,リードを用いて鳴らすものとの総称。もとは金管楽器に対して木製の楽器のことであったが,現在では実際の材質にかかわらず,発音機構から〈木管〉と〈金管〉を区別している。たとえば,現代型フルートとかサクソフォーンなどが,金属製であることを原則としているのに〈木管〉の仲間とされるのはそのためである。〈木管〉と〈金管〉との間には,音の性格や運動能力などの違いがあり,両者の対立的分類は西洋の音楽文化の流れの中で,それなりの必然性があったといえよう。しかし名の由来と実態が一致せず,ことに〈木管〉はその内容が雑多にすぎるといった問題があり,この語を洋楽以外の文脈中で用いることには慎重を要する。
最も基本的な木管楽器としては,次の四つを挙げるのが普通である(それぞれの代表的同族楽器をかっこ内に入れる)。(1)フルート(ピッコロ),(2)オーボエ(イングリッシュ・ホルン),(3)クラリネット(小クラリネット,バス・クラリネット),(4)ファゴット(コントラファゴット)。(5)としてサクソフォーンを加えることもできる。構造型式からみると,(1)はノンリード(現代型は円筒管),(2)と(4)はダブル・リード円錐管,(3)と(5)はシングル・リードで,(3)が円筒管,(5)が円錐管である。オーボエとファゴットは17世紀中葉,器楽興隆期のさなかに,在来の楽器をもとにして作り出され,同じころフルートも大改造を受けて一新した。ややおくれてクラリネットが,やはり前からの楽器をもとにドイツで作られる。18世紀末に管弦楽の古典的定型が完成したとき,木管楽器群の定席を占めたのがこれら四つの楽器である。サクソフォーンは19世紀中葉の登場で,活躍の場は吹奏楽や大衆音楽の比重が大きい。
→笛 →リード
執筆者:中山 冨士雄+関根 裕
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概括的には、木を材料とした管楽器の総称だが、木製ではない木管楽器も少なくない。たとえば、フルートは元来木製だったが、現在使われているのは金属製のものが圧倒的に多い。サクソフォーンは発明当初から金属製だが、発音にリードを用いているため、木管楽器に含められる。他の楽器でも、合成樹脂や金属でつくられたものが少なくない。木管楽器は、リードによって発音されるものと、フルートのようにエッジ音によるものとに大別でき、前者はさらに、シングル・リード(単簧(たんこう))のものとダブル・リード(複簧)のものとに分けられる。しかし、それぞれのなかでも、たとえば、単簧のクラリネットとサクソフォーン、複簧のオーボエとファゴットなどでは、かなり性格が異なっており、金管楽器と比べて「木管楽器」の名の下での統一感は乏しい。
[前川陽郁]
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…(3)はいわゆるらっぱ類で,唇がリードの働きをするので,リップ・リードなどともいう。西洋では(1)と(2)の方式の楽器を指して木管楽器,(3)を金管楽器と呼ぶ習慣があり,実際の材質とときに不一致のまま行われている。管楽器のピッチを決定するのは管の長さと内部における空気の振動様式(開管または閉管)である。…
※「木管楽器」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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