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一つの音を構成する部分音は、最小振動数の基音と、それ以外の上音である。上音のなかでも、基音の整数倍振動数をもついくつかの部分音(たとえばオクターブ上、さらに五度上、……)を倍音という。倍音は、相互の強さ関係とその時間経過上の変化に応じて、歌声や楽器音の音色を決定する。気鳴楽器を強く吹いたときの甲高い音や、弦鳴楽器のハーモニックス奏法(たとえば弦長の2分の1のところに軽く指を触れた状態で弾弦したときに得られる澄んだ音)は、とくに倍音効果を強調したものである。モンゴルのホーミーとよばれる倍音唱法の場合、男性が低い基音をドローン(持続低音)として響かせると同時に、口腔(こうくう)の形や舌の位置を微妙に変化させることにより一瞬一瞬のうちに強調する倍音を連鎖的に交代させ、結果として高音部で旋律をつくりだすため、「1人で二つの声を出す」ような印象を与える。
[山口 修]
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…部分音のうちで振動数のもっとも低いものを基本音,それ以上の振動数の部分音を順次第1上音,第2上音,……という。とくにこの例のように上音の振動数がすべて基本音の振動数の整数倍であるときには,第2倍音,第3倍音,……という。また実在する音には,図のdのように音圧波形が不規則に変化し,同じ波形を繰り返さない音が多い。…
※「倍音」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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