ピッコロ(読み)ぴっころ(英語表記)piccolo イタリア語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ピッコロ」の意味・わかりやすい解説

ピッコロ
ぴっころ
piccolo イタリア語

「小さい」を意味するイタリア語で、音域の異なる同一の楽器群のなかで、高音域をカバーする楽器をさして用いられる。英語にもそのまま入り、ピッコロ・トランペットなどといった言い方がなされる。

 しかし、一般にピッコロといえば、フルートより1オクターブ音域の高い気鳴楽器をさす場合が多い。これは、イタリア語でフラウト・ピッコロ(小形フルート)とよんでいたものが省略され、一般化したもので、19世紀初頭にはほぼ現在の形に近いものが出現したと考えられる。金属管のものもあるが、木製管が依然として多く用いられ、その形状も、頭部管は円筒でその先は細くなっていくというかつての(ベーム式以前の)フルートの形態をとどめている。キーの機構はベーム式で、運指は基本的にはフルートと同じである。音域はもっとも一般的なC管でD5―C8。このほか吹奏楽ではD♭管を用いることもある。

[卜田隆嗣]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ピッコロ」の意味・わかりやすい解説

ピッコロ
Piccolo, Lucio

[生]1903. パレルモ
[没]1969. カーポドルランド
イタリアの詩人。小説家トマージ・ディ・ランペドゥーザの従弟にあたる。高等学校を終えてから,読書詩作にふけり,終生,隠遁生活をおくった。特異なシチリア風土を背景にした,神秘的緊張感をはらむ密度の高い象徴詩は,モンターレによって紹介された。主著バロックの歌』 Canti barocchi (1956) ,『かくれんぼとバロックの歌』 Gioco a nascondere e Canti barocchi (60) ,『プルメーリア』 Plumelia (67) 。

ピッコロ
piccolo

イタリア語の「小さい」という意味で,同属楽器のうちいちばん小さい楽器をさすが,普通は,最高音域のフルート系管楽器のこと。長さはフルートの約半分 (34cm) で,音域は1オクターブ高く,鋭く硬くはなやかな音色を出すが表情はやや乏しい。鍵盤楽器を除いて,最高音部でこれほど自由に動ける楽器はなく,小鳥の鳴き声などにも使われる。普通はニ調であるが,吹奏楽用として変ニ調の楽器もある。

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