日本大百科全書(ニッポニカ) 「ピッコロ」の意味・わかりやすい解説
ピッコロ
ぴっころ
piccolo イタリア語
「小さい」を意味するイタリア語で、音域の異なる同一の楽器群のなかで、高音域をカバーする楽器をさして用いられる。英語にもそのまま入り、ピッコロ・トランペットなどといった言い方がなされる。
しかし、一般にピッコロといえば、フルートより1オクターブ音域の高い気鳴楽器をさす場合が多い。これは、イタリア語でフラウト・ピッコロ(小形フルート)とよんでいたものが省略され、一般化したもので、19世紀初頭にはほぼ現在の形に近いものが出現したと考えられる。金属管のものもあるが、木製管が依然として多く用いられ、その形状も、頭部管は円筒でその先は細くなっていくというかつての(ベーム式以前の)フルートの形態をとどめている。キーの機構はベーム式で、運指は基本的にはフルートと同じである。音域はもっとも一般的なC管でD5―C8。このほか吹奏楽ではD♭管を用いることもある。
[卜田隆嗣]