フロック加工(読み)フロックカコウ(その他表記)flock finish

デジタル大辞泉 「フロック加工」の意味・読み・例文・類語

フロック‐かこう【フロック加工】

フロックとよばれる綿ナイロンレーヨンなどの繊維を短く切ってつくった毛羽を、布面などに、主に静電植毛法で固着させ、毛皮ビロードのような織物をつくる加工法。植毛加工。フロックフィニッシュ。フロッキング加工

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改訂新版 世界大百科事典 「フロック加工」の意味・わかりやすい解説

フロック加工 (フロックかこう)
flock finish

接着剤を塗った布,フォーム(発泡体)などに,ごく短い繊維(フロック)を機械的振動あるいは高圧静電気を利用して固着させる加工法。接着剤をフィルムに固着し,これを基布にラミネートする方法もある。フロック加工の歴史は古く14世紀にさかのぼり,短く切った絹繊維をペンキを塗ったばかりの壁へ吹きつけて固着することが行われたという。コンクリート壁へフロック加工すると騒音防止に有効であり,近年施行されるようになった。耐洗濯性があり,風合いを硬くしないアクリル系エマルジョン型接着剤の開発により,パイルpile布の製造法としてフロック加工が重要になっており,フランネル様,スエード調など優れた表面特性をもった子どもや婦人服用の布をつくることができるし,カーペットなどのインテリア用にも用いられる。フロックとしては,レーヨン,ナイロン,ポリエステルなどが用いられる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フロック加工」の意味・わかりやすい解説

フロック加工
フロックかこう
flock finishing

植毛加工ともいう。布地に接着剤を塗布して短繊維 (フロック) を植付ける仕上げ法。植毛は直流の高電圧を利用して行う静電植毛加工 (電着加工) が最も多いが,ほかコンプレッサによる吹付け,散布,または機械的振動の利用などもある。接着剤で模様をプリントし,植毛で模様を出すのをフロック・プリントといい,衣料,装飾品に利用される。全面植毛は衣料のほか,カーペット,建材,雑貨品の加工に用いる。短繊維には綿,羊毛,レーヨン,ナイロンなどを使う。静電植毛は陽電極に直流電圧 (10~60kV) を加え,陰電極をアースして,この電極間に接着剤を塗布した基布 (布地) を通す。陽極上部のコンベヤ上に,短繊維 (0.5~10mm程度) をおけば,静電気の吸引力によって,陰極に向って垂直に飛び,接着剤に突刺さって植毛される。繊維製品ばかりではなく,紙,木,竹,金属,陶磁器,ゴム,プラスチックなどの植毛にも利用される。

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百科事典マイペディア 「フロック加工」の意味・わかりやすい解説

フロック加工【フロックかこう】

植毛加工とも。長さ0.1〜5mmの短繊維(フロックflock)を基布に垂直に植える加工法。基布に接着剤を塗り直流高電圧をかけて静電気を帯びさせ,繊維を吸引させて接着する。基布に接着剤で模様をプリントし,植毛で模様を表す植毛捺染(なっせん)も行われる。フランネル調,スエード調などの服飾生地やカーペットなどに用いられる。

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化学辞典 第2版 「フロック加工」の解説

フロック加工
フロックカコウ
flocking

短く切った繊維(約0.1~8 mm 長)(フロック)を,静電気や接着剤を用いて布地面に固着する方法.電気植毛,静電植毛,電着加工とよばれ,フロックはほぼ布地面に垂直に固着する.高電圧(約1万~6万V)を印加した電極間にフロックを入れると,静電気の力を受けて陰極に向かって垂直にフロックは飛んでいく.陰極に接着剤を添付しておくと,フロックは垂直に配向して接着する.フロック加工は,織物のほかに,紙,木材,プラスチックなどの表面加工に応用されている.

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