接着剤を塗った布,フォーム(発泡体)などに,ごく短い繊維(フロック)を機械的振動あるいは高圧の静電気を利用して固着させる加工法。接着剤をフィルムに固着し,これを基布にラミネートする方法もある。フロック加工の歴史は古く14世紀にさかのぼり,短く切った絹繊維をペンキを塗ったばかりの壁へ吹きつけて固着することが行われたという。コンクリート壁へフロック加工すると騒音防止に有効であり,近年施行されるようになった。耐洗濯性があり,風合いを硬くしないアクリル系エマルジョン型接着剤の開発により,パイルpile布の製造法としてフロック加工が重要になっており,フランネル様,スエード調など優れた表面特性をもった子どもや婦人服用の布をつくることができるし,カーペットなどのインテリア用にも用いられる。フロックとしては,レーヨン,ナイロン,ポリエステルなどが用いられる。
執筆者:坂本 宗仙
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短く切った繊維(約0.1~8 mm 長)(フロック)を,静電気や接着剤を用いて布地面に固着する方法.電気植毛,静電植毛,電着加工とよばれ,フロックはほぼ布地面に垂直に固着する.高電圧(約1万~6万V)を印加した電極間にフロックを入れると,静電気の力を受けて陰極に向かって垂直にフロックは飛んでいく.陰極に接着剤を添付しておくと,フロックは垂直に配向して接着する.フロック加工は,織物のほかに,紙,木材,プラスチックなどの表面加工に応用されている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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