日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブカレスト条約」の意味・わかりやすい解説
ブカレスト条約
ぶかれすとじょうやく
ルーマニアの首都ブカレストBucharestで結ばれた諸条約。(1)1812年5月28日の条約 ナポレオン1世の後押しを受けたオスマン・トルコ帝国に対してロシアが、ルーマニア系二公国の支配権をめぐり1806年に宣戦した。対仏連合を重視するイギリスの仲介により講和が成立。ロシアは二公国支配を断念するかわりにベッサラビアを獲得した。(2)1886年3月3日の条約 ブルガリアの東ルーメリア併合に刺激されたセルビア国王ミランが1885年11月にブルガリアに宣戦したが、1週間のうちに敗北。オーストリアがブルガリア軍の反撃に警告を発して休戦が成立した。(3)1913年8月10日の条約 同年5月に第一次バルカン戦争を終結するロンドン条約が結ばれたが、その結果に不満なブルガリアが6月にセルビア、ギリシアを攻撃し、第二次バルカン戦争が始まった。ルーマニア、トルコもセルビア側にたって参戦。敗北したブルガリアは、ルーマニアに南ドブルジアを、トルコに東トラキアの一部を新たに奪われた。(4)1918年5月7日の条約 第一次世界大戦において、1916年10月に連合国側にたって参戦したルーマニアは、戦闘に敗れ、中央同盟側と単独講和を結んだ。
[木戸 蓊]
『木戸蓊著『バルカン現代史』(1977・山川出版社)』