ブテン

化学辞典 第2版「ブテン」の解説

ブテン
ブテン
butene

C4H8(56.11).ブチレンともいう.脂肪族不飽和炭化水素,オレフィン族に属する炭素数4の炭化水素の総称.異性体として,1-ブテン,trans-およびcis-2-ブテン,イソブテンがある.石油系炭化水素の分解ガス中に存在し,ブタン異性体とともにB-B留分として取り出される.【】1-ブテン(1-butene):CH2=CHCH2CH3.石油系炭化水素の熱および接触分解ガス,あるいは石炭乾留ガス中に存在する.実験室的には,ブチルアルコール固体酸触媒により脱水し,生成したブテン混合物(1-および2-ブテン)より精密分留する製法と,臭化ビニルとジエチル亜鉛との反応,あるいはヨウ化ブチルの水酸化カリウムによる脱ヨウ化水素による製法とがある.工業的には,石油系炭化水素の分解ガスより得られたB-B留分から,硫酸吸収法によりイソブテンを除き,次に抽出蒸留によりブタン類および2-ブテン類と分離すると得られる.構造は直鎖状で,末端に二重結合をもつ.オレフィンガスの特臭をもつ液化しやすい無色気体.融点-185.35 ℃,沸点-6.26 ℃.爆発範囲1.6~9.3体積%.反応性に富んだ二重結合をもち,石油化学工業における重要な原料の一つである.化学原料としては,多くの場合,2-ブテンと分離する必要はなく,n-ブテン混合物として用いられる.おもな用途は,ブチルアルコール,エチルメチルケトンペンタノールブテンオキシドマレイン酸無水物などの合成原料である.脱水素によりブタジエンを合成することができる.ほかにアルキレートガソリンの原料,液化石油ガスの一成分として燃料に用いられる.[CAS 106-98-9]【】2-ブテン(2-butene):CH3CH=CHCH3.シス形とトランス形の2種類の異性体がある.石油系炭化水素の分解ガス,石炭乾留ガス中に存在する.実験室的には,1-ブテンと同様にブチルアルコールの脱水による製法のほか,ヨウ化sec-ブチルの脱ヨウ化水素による製法がある.工業的には,石油系炭化水素の分解ガスより得られたB-B留分から,硫酸吸収法によりイソブテンを除き,さらに抽出蒸留法によりブタン類および1-ブテンを分離する.構造は,内部の炭素原子間が二重結合になっているため,両末端メチル基の位置が固定され,シス形とトランス形の2種類の構造異性体を生じる.原子間距離C=Cはシス形で0.138 nm,トランス形で0.140 nm,C-Cはシス形で0.154 nm,トランス形で0.156 nm.熱力学的にはトランス形のほうが安定である.オレフィンガスの特臭をもつ液化しやすい無色の気体.融点はシス形-138.91 ℃,トランス形-105.55 ℃,沸点はシス形3.72 ℃,トランス形0.88 ℃.爆発範囲1.8~9.7体積%.反応性に富む二重結合をもち,石油化学工業における重要な原料の一つである.化学原料としては,多くの場合,1-ブテンと分離する必要はなく,n-ブテン混合物として用いられる.おもな用途は1-ブテンと同様である.[CAS 107-01-7][CAS 624-64-6:トランス形][CAS 590-18-1:シス形]【】[別用語参照]イソブテン

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「ブテン」の解説

ブテン
butene

ブチレンともいう。 C4H8 で示されるオレフィン系炭化水素総称。石油分解ガス,石炭乾留ガスなどの中に含まれ,炭素鎖中の二重結合の位置により4種の異性体がある。いずれもオレフィンガス特有の臭いのある無色の気体である。 (1) 1-ブテン 沸点-6.25℃。液化石油ガスとして燃料に供するほか,第二ブチルアルコール,ブタジエンなどの製造原料になる。 (2) 2-ブテン 沸点 3.72℃のシスブテンと沸点 0.88℃のトランスブテンとがある。両者の違いは二重結合に関与している炭素原子に結合している水素原子の結合様式による。工業的には両者は混合したまま利用されることが多い。用途は1-ブテンとほぼ同じ。 (3) イソブテン 沸点-6.9℃。イソオクタンあるいは重合ガソリンの製造原料,合成ゴムやハロゲン化アルキルの製造原料に用いられる。

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世界大百科事典内のブテンの言及

【ブチレン】より

…炭素数4の脂肪族鎖式不飽和炭化水素(アルケン)で,ブテンbuteneともいい,3種類の構造異性体(2‐ブテンにはシス型とトランス型がある)がある。これらは,ナフサ分解プロセスのC4留分,あるいは石油の接触分解の副産ガスC4留分などに存在し,これらから蒸留その他の方法で分離される。…

※「ブテン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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