ブチレン(英語表記)butylene

デジタル大辞泉 「ブチレン」の意味・読み・例文・類語

ブチレン(butylene)

エチレン系炭化水素の一。二重結合を一つもち、3種の異性体がある。いずれも液化しやすい無色気体ブタジエンイソオクタンなどの製造原料。分子式C4H8 ブテン。
[補説]異性体は、1-ブテンCH2CHCH2CH3・シス-2-ブテンCH3CHCHCH3・トランス-2-ブテンCH3CHCHCH3

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精選版 日本国語大辞典 「ブチレン」の意味・読み・例文・類語

ブチレン

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] butylene ) 一般に化学式 C4H8 で表わされるオレフィン系炭化水素総称

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改訂新版 世界大百科事典 「ブチレン」の意味・わかりやすい解説

ブチレン
butylene

炭素数4の脂肪族鎖式不飽和炭化水素アルケン)で,ブテンbuteneともいい,3種類の構造異性体(2-ブテンにはシス型とトランス型がある)がある。これらは,ナフサ分解プロセスのC4留分,あるいは石油接触分解の副産ガスC4留分などに存在し,これらから蒸留その他の方法で分離される。アルコールケトン有機酸などの含酸素化合物の合成,ブタジエンの製造などの用途がある。

常温・常圧下では気体であるが,加圧または冷却によって比較的容易に液化する。融点沸点を表に示す。いずれも不飽和結合をもっており反応性に富む。

ナフサ分解のC4留分から各種のブテンを分離する方法の大要は次のとおりである。まずブタジエンを抽出蒸留法によって分離回収し,残りのC4留分を蒸留によって,蒸留塔の塔頂から得られるA留分と塔底からのB留分に分ける。Aを50%硫酸で処理すればイソブテンが分離でき,残りはフルフラールを用いて抽出蒸留を行い,イソブタンと1-ブテンが分離される。Bは同じく抽出蒸留によってn-ブタンと2-ブテンに分離される。工業的に重要なブチレン誘導品を図に示す。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブチレン」の意味・わかりやすい解説

ブチレン(データノート)
ぶちれんでーたのーと

ブチレン
  C4H8, 分子量 56.1

1-ブテン
  CH2=CHCH2CH3
 融点  -185.35℃
 沸点  -6.25℃
 比重  0.5888(25℃の液体

cis-2-ブテン

 融点  -138.91℃
 沸点  3.72℃
 比重  0.6154(25℃の液体)

trans-2-ブテン

 融点  -105.55℃
 沸点  0.88℃
 比重  0.5984(25℃の液体)

2-メチルプロペン

 融点  -140.35℃
 沸点  -6.90℃
 比重  0.5879(25℃の液体)


ブチレン
ぶちれん
butylene

鎖状不飽和炭化水素の一種。一般にはブテンbuteneの名で知られる。1-ブテン(α(アルファ)-ブチレン)、2-ブテン(β(ベータ)-ブチレン)および2-メチルプロペン(イソブチレン)の3種の異性体がある。なお、2-ブテンにはシス形とトランス形の2種の幾何異性体がある。いずれも常温で特有の臭気のある可燃性の気体で、加圧下冷却により容易に液化する。これらは石油の分解産物から得られる。日本ではブタンとブチレンをあわせて年間約300万トン生産される。2-ブテンは2-ブタノールや、それを経由するメチルエチルケトンの製造に、また、1-および2-ブテンは、重合によりポリブテンの製造に利用される。また、ブタジエンとして各種の合成ゴム製造のために利用されている。2-メチルプロペン(イソブチレン)はメタクリル酸メチル、メタクリロニトリルの製造やブチルゴムの製造に利用される。

[徳丸克己]

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百科事典マイペディア 「ブチレン」の意味・わかりやすい解説

ブチレン

化学式はC4H8。炭素数4の脂肪族鎖式不飽和炭化水素。ブテンともいい,3種類の構造異性体がある。常温・常圧下では気体だが,加圧または冷却によって比較的容易に液化する。反応性に富む。ナフサ分解プロセスのC4留分あるいは石油の接触分解の副産ガスC4留分などに存在し,これらから蒸留その他で分離される。用途はアルコール,ケトン,有機酸などの含酸素化合物の合成,ブタジエンの製造など。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブチレン」の意味・わかりやすい解説

ブチレン
butylene

(1) ブタンから水素原子2個を除いた2価の原子団 -C4H8- 。1,4-ブチレン,α-ブチレン,β-ブチレン,2,3-ブチレンの4種の異性体があるが,そのうち1,4-ブチレンのみはテトラメチレンという。 (2) 石油分解ガス中に含まれるガス状炭化水素。正式の化学名はブテン

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化学辞典 第2版 「ブチレン」の解説

ブチレン
ブチレン
butylene

[同義異語]ブテン

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