炭素数4の脂肪族鎖式不飽和炭化水素(アルケン)で,ブテンbuteneともいい,3種類の構造異性体(2-ブテンにはシス型とトランス型がある)がある。これらは,ナフサ分解プロセスのC4留分,あるいは石油の接触分解の副産ガスC4留分などに存在し,これらから蒸留その他の方法で分離される。アルコール,ケトン,有機酸などの含酸素化合物の合成,ブタジエンの製造などの用途がある。
常温・常圧下では気体であるが,加圧または冷却によって比較的容易に液化する。融点,沸点を表に示す。いずれも不飽和結合をもっており反応性に富む。
ナフサ分解のC4留分から各種のブテンを分離する方法の大要は次のとおりである。まずブタジエンを抽出蒸留法によって分離回収し,残りのC4留分を蒸留によって,蒸留塔の塔頂から得られるA留分と塔底からのB留分に分ける。Aを50%硫酸で処理すればイソブテンが分離でき,残りはフルフラールを用いて抽出蒸留を行い,イソブタンと1-ブテンが分離される。Bは同じく抽出蒸留によってn-ブタンと2-ブテンに分離される。工業的に重要なブチレン誘導品を図に示す。
執筆者:冨永 博夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
ブチレン
C4H8, 分子量 56.1
1-ブテン
CH2=CHCH2CH3
融点 -185.35℃
沸点 -6.25℃
比重 0.5888(25℃の液体)
cis-2-ブテン
融点 -138.91℃
沸点 3.72℃
比重 0.6154(25℃の液体)
trans-2-ブテン
融点 -105.55℃
沸点 0.88℃
比重 0.5984(25℃の液体)
2-メチルプロペン
融点 -140.35℃
沸点 -6.90℃
比重 0.5879(25℃の液体)
鎖状不飽和炭化水素の一種。一般にはブテンbuteneの名で知られる。1-ブテン(α(アルファ)-ブチレン)、2-ブテン(β(ベータ)-ブチレン)および2-メチルプロペン(イソブチレン)の3種の異性体がある。なお、2-ブテンにはシス形とトランス形の2種の幾何異性体がある。いずれも常温で特有の臭気のある可燃性の気体で、加圧下冷却により容易に液化する。これらは石油の分解産物から得られる。日本ではブタンとブチレンをあわせて年間約300万トン生産される。2-ブテンは2-ブタノールや、それを経由するメチルエチルケトンの製造に、また、1-および2-ブテンは、重合によりポリブテンの製造に利用される。また、ブタジエンとして各種の合成ゴム製造のために利用されている。2-メチルプロペン(イソブチレン)はメタクリル酸メチル、メタクリロニトリルの製造やブチルゴムの製造に利用される。
[徳丸克己]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新