日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブチレン」の意味・わかりやすい解説
ブチレン(データノート)
ぶちれんでーたのーと
ブチレン
C4H8, 分子量 56.1
1-ブテン
CH2=CHCH2CH3
融点 -185.35℃
沸点 -6.25℃
比重 0.5888(25℃の液体)
cis-2-ブテン
融点 -138.91℃
沸点 3.72℃
比重 0.6154(25℃の液体)
trans-2-ブテン
融点 -105.55℃
沸点 0.88℃
比重 0.5984(25℃の液体)
2-メチルプロペン
融点 -140.35℃
沸点 -6.90℃
比重 0.5879(25℃の液体)
ブチレン
ぶちれん
butylene
鎖状不飽和炭化水素の一種。一般にはブテンbuteneの名で知られる。1-ブテン(α(アルファ)-ブチレン)、2-ブテン(β(ベータ)-ブチレン)および2-メチルプロペン(イソブチレン)の3種の異性体がある。なお、2-ブテンにはシス形とトランス形の2種の幾何異性体がある。いずれも常温で特有の臭気のある可燃性の気体で、加圧下冷却により容易に液化する。これらは石油の分解産物から得られる。日本ではブタンとブチレンをあわせて年間約300万トン生産される。2-ブテンは2-ブタノールや、それを経由するメチルエチルケトンの製造に、また、1-および2-ブテンは、重合によりポリブテンの製造に利用される。また、ブタジエンとして各種の合成ゴム製造のために利用されている。2-メチルプロペン(イソブチレン)はメタクリル酸メチル、メタクリロニトリルの製造やブチルゴムの製造に利用される。
[徳丸克己]