日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブランド戦略」の意味・わかりやすい解説
ブランド戦略
ぶらんどせんりゃく
brand strategy
ブランドすなわち商標を広告宣伝等によって売り込み、競争者の同一製品と自己の製品とを差別し、競争上有利な立場を築くことをねらったマーケティング戦略の一種。この戦略の最大の目的は、差別化differentiationによるブランド・イメージの形成である。差別化とは、機能や品質にほとんど差のない製品間に、あたかもそれらの差があるかのような主観的印象をもたせることであり、その結果として特定のブランド商品を選好する心理がブランド・イメージである。ブランド戦略が効果を発揮するのは、酒・化粧品のような嗜好(しこう)品、家電製品のような耐久消費財、スポーツ用品のような買回り品であって、鉄鋼・セメント・小麦粉のような標準化製品にはほとんど効果がない。使用されるブランドは、メーカー・ブランドが主流であるが、流通業者ブランド(プライベート・ブランド)も増えてきている。
[森本三男]