ブリッジマン法(読み)ブリッジマンホウ

化学辞典 第2版 「ブリッジマン法」の解説

ブリッジマン法
ブリッジマンホウ
Bridgman method

融液から単結晶を育成する方法の一つ.出発原料を円筒形るつぼ加熱融解して底部から徐冷する.この底部は,普通,約60°の立体角の円すい形をしており,さらにその先端に直径1~2 mm の毛管を備えることがある.いずれもその底部に種子結晶と称する微結晶をあらかじめ入れておき,冷却時に析出する固体が優先的に種結晶面に析出して多結晶体となることを妨げ,かつ底部の角度で方位が制御されて徐々に単結晶の半径が増加するように工夫されている.この方法は,比較的安定に直径10~20 cm に及ぶ大きな単結晶を育成するのに便利であるが,融液がつねにるつぼの内側面に密着しているため,そこから冷却時に応力が導入されて,割れが発生したり不純物が混入する欠点がある.底部から徐冷するには,一定の温度勾配に保った炉内で高温度で原料をまず全部融解したのち,底部から徐々に低温度に移動させる.これには垂直に立てた炉内でるつぼを徐々に引き下げるか,逆に炉を徐々に引き上げるかの方法があるが,前者の場合が多く用いられる.育成中の気圧は,その物質の蒸気圧が高いか低いか,あるいは圧力によって安定相がかわるかによって広範囲で選ぶことができる.圧力を制御する方法としては,加熱炉内圧力を全体としてかえるか,またはるつぼとして用いる容器を密閉するなどが試みられている.[別用語参照]単結晶育成

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブリッジマン法」の意味・わかりやすい解説

ブリッジマン法
ブリッジマンほう
Bridgman method

大きな単結晶を得るために P.ブリッジマンが考案した結晶製作法。実験・研究用の半導体金属材料の結晶製作ならびに各種デバイス用の半導体,タービンブレードなどの金属材料の単結晶製品に用いられる。一端のとがった容器中に原材料を入れて全量溶融したのち,温度勾配をもつ垂直型電気炉内を低温側へ降下させ,先端部から徐々に凝固させる。凝固の初期段階では先端部に小さな結晶核がいくつかできるがその数は比較的少く,凝固の進行とともに,そのうちのより早く結晶化する方位の結晶核が他を圧倒し,1個の単結晶となる。横型 (水平) ブリッジマン法と呼ばれる,水平方向に移動させる方法もある。

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