プトレマイオス1世ソテル(読み)プトレマイオスいっせいソテル(その他表記)Ptolemaios I Sōtēr

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

プトレマイオス1世ソテル
プトレマイオスいっせいソテル
Ptolemaios I Sōtēr

[生]前367/前366/前364. マケドニア
[没]前283/前282. エジプト
プトレマイオス朝始祖 (在位前 323~285) 。救済王 (ソテル) とも呼ばれる。マケドニアの小地主階級の出身。抜擢されてアレクサンドロス3世 (大王)の近習,近衛兵として常に側近にあり,イラン,バクトリア,インドに転戦し武勲を立てた。大王死後,「後継者 (ディアドコイ ) 」の一人となり,エジプト,シリア,パレスチナ,アナトリア南部,エーゲ海の支配に成功し,巧妙な外交家としての能力を示し,マケドニア人によるエジプト支配体制を確立。さらに著述家,文化人としても活躍した。みずから王と称したのは前 305/4年以後で,彼が興した王朝プトレマイオスとも,彼の父にちなんでラゴスとも呼ばれる。彼は大王死後の後継者戦争の間にエジプトを確保し,リビアの東部 (キュレネ地方) ,キプロス,シリアなども政略結婚と何回かの戦い (前 312年のガザの戦い,前 306年のサラミス海戦,イプソスの戦い) によって勢力圏とした。しかし最後の 15年間は主として平和外交に頼った。基本政策は強力な軍隊による国土安全保障一族によるエジプト支配の継承,国土の技術的開発,貨幣制度の導入によるエジプト経済の国際化,先住民の完全な支配 (セラピス神崇拝の確立,先住民の神殿復興) ,ヘレニズム文化興隆 (ムセイオンおよび図書館の設置,大王遠征史の記述) などであった。

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