プライマリー・バランス(読み)ぷらいまりーばらんす(英語表記)primary balance

翻訳|primary balance

知恵蔵 「プライマリー・バランス」の解説

プライマリー・バランス

公債費を除く経費と、公債や借入金などを除く租税収入などの歳入バランスしていること。すなわち、過去の借金の元利払い以外の政策的経費を、公債などの新たな借金に頼らずに調達することを意味する。プライマリー・バランスは、財政再建過程において重要な政策目標とされている。平成13(2001)年の経済財政諮問会議の「骨太の方針」でも、財政再建の中期目標として、まずはプライマリー・バランスを黒字にすることが適切だとされた。その理由は、第1に、世代間の公平という観点から、現在の公共サービス費用を将来の世代に先送りすべきではない、第2に、財政の持続可能性を回復するためには、債務残高を対GDP比で増大しないようにする必要があり、それには元利払い以上の借金を新たに行うべきではない、ということであった。07年6月発表の「経済財政改革の基本方針2007」ではプライマリー・バランスの黒字化達成の時期を11年度と明示している。

(神野直彦 東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授 / 2008年)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「プライマリー・バランス」の意味・わかりやすい解説

プライマリー・バランス
primary balance

基礎的財政収支。公債発行額および公債費を除いた財政収支をいう。 1999年2月に小渕首相の諮問機関であった経済戦略会議が提出した最終答申のなかで,財政破綻を阻止するための条件の1つとして 2008年度をめどにプライマリー・バランスの赤字ゼロにするという目標が提示された。

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