プラントオパール

デジタル大辞泉 「プラントオパール」の意味・読み・例文・類語

プラント‐オパール(plant opal)

土中に見られる植物に由来する珪酸けいさん体をいう。珪酸イネ科植物の葉中に特に多く含まれるため、プラントオパールの有無多少が、過去植生を推定する手がかりになる。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「プラントオパール」の意味・わかりやすい解説

プラント・オパール
plant opal

イネ科植物などに含まれる多量のケイ酸が細胞に集積したもの。植物ケイ酸体,植物タンパク石ともいう。とくに葉身にある細胞ケイ酸体は,種により特有の形と大きさを示し,考古学などではこれを利用し,遺跡土壌土器の胎土中のプラント・オパールの同定により,農耕起源に迫ろうとする研究が進められている。熊本県の縄文時代晩期初めの土器からは,イネのプラント・オパールが検出されている。水田遺構の検出にも有効で,青森県南津軽郡田舎館(いなかだて)遺跡では,発掘前のボーリング資料から推定された水田址が,実際の発掘で検出された。また縄文時代以降に形成されたと考えられる黒土に多量のプラント・オパールが含まれており,野焼きによって生じた草原がその供給源と考えられている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「プラントオパール」の意味・わかりやすい解説

プラントオパール

〈植物ケイ酸体〉ともいう。イネ科植物に含まれるケイ酸からなる機動細胞で,土中で腐食せずに保存されるため,遺跡土壌から当時のイネ科植物の存在を知ることができる。植物によって独自の形態を持つものがあり,特に考古学においてイネやトウモロコシ栽培を立証する手がかりとして研究が行われている。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android