製品ライフ・サイクル,PLCともいう。PLCの考え方は,製品の環境,戦略,収益性などが,市場導入からの時間とともにいくつかの段階を経て変化していく点に注目し,その各段階について一般的法則性を見いだすことにより,マーケティング戦略上有用な示唆を抽出しようというものである。PLCは通常その製品の売上水準の時間的推移を用いて規定され,典型的には,導入期から成長期,成熟期を経て衰退期に至るプロセスとして表される。
導入期は,新製品の存在を消費者に広く紹介し,その便益を強調することにより試用を促す啓蒙的マーケティングの段階である。そこで消費者の支持を得た場合には,売上高は上昇を始め,成長期に入る。そこでは,競合企業の参入が相つぎ,各企業のマーケティング努力が市場全体を拡大する。価格は量産効果と競争効果により徐々に低下し,それがさらに製品の普及を促進することになる。1企業当りのマーケティング支出は導入期より低下し,売上高の増大により収益性は好転する。市場の成長が鈍化してくるにつれて成熟期へと移る。企業間の競合は激化し,価格競争が展開されるとともに,品質改善,新機能の追加,ブランド・イメージの追求などによる製品差別化が進展する。価格競争と差別化のための支出により収益性は徐々に低下する。究極的には,技術革新による新しい代替製品の出現,消費者の好みやライフ・スタイルの変化などにより売上高が減少しはじめ,衰退期を迎えることになる。
このようなPLCの議論に対しては,いくつかの問題点が提起されている。PLCの型が実際には多種多様であり,一般化が容易でないこと,PLCの分析単位である〈製品〉の概念が明瞭でないこと(たとえば,白黒テレビとカラーテレビは別の製品と考えるべきか否か),などはその代表的なものである。
執筆者:片平 秀貴
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
製品ライフ・サイクル、略してPLCともいう。製品が開発されて市場に導入され、普及成長し、成熟し、やがて別の製品に押されて衰退するという一連の経過を、売上高の推移でとらえたものをいう。経過のくぎり方には種々の説があるが、もっとも有力なものは、導入・成長・成熟・衰退の四期とする説である。
(1)導入期 製品の売上げは伸びず、コストは高く損失の状態にある。
(2)成長期 製品が市場に普及し、売上げは急速に伸長する。企業間の競争は激化するので、量産によりコストは低下しているにもかかわらず、それほど利益はあがらず、競争力の弱い企業は脱落する。
(3)成熟期 需要が飽和状態となり、買い替え(耐久財)や反復購入(非耐久財)が主体となる。しかし、この段階まで生き残った企業には、大きな利益が生じる。
(4)衰退期 代替品の出現や環境変化によって需要は衰退し、売上げは下向する。利益もなくなり、やがて生産は中止される。
製品ライフ・サイクルの存在は、製品構成(プロダクト・ミックス)に重要な影響を与える。企業は成熟期にある製品が生み出す収益を、新製品開発に投入し、次期の成長・成熟製品を次々に生み出さなければならない。
[森本三男]
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