日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヘラスコフ」の意味・わかりやすい解説
ヘラスコフ
へらすこふ
Михаил Матвеевич Херасков/Mihail Matveevich Heraskov
(1733―1807)
ロシアの詩人。祖父の代にワラキアから移住した貴族の出身。幼年学校卒業後3年間軍隊に勤め、のちモスクワ大学に勤務し、やがてその学長となる。ノビコフらとともにフリーメーソンの熱心なメンバーで、そのため一時退官を余儀なくされたこともある。代表作はロシア史に題材をとった二つの古典主義的叙事詩『ロシアーダ』(1779)と『ウラジーミル』(1785)。前者はイワン雷帝のカザン攻略、後者は若いロシア国家のキリスト教改宗という画期的事件を扱ったもの。ほかに頌詩(しょうし)、寓話(ぐうわ)詩、叙情詩、悲劇などの作品もある。
[中村喜和]