翻訳|bergamot
レモンに近いミカン科の植物で,ダイダイとレモンまたはライムとの雑種と考えられている。レモンに似た高木で,白い花が咲く。果実は果頂のとがった球形。果皮を圧搾して,淡緑色で強い芳香のベルガモット油をとる。化粧品とくにオーデコロンの原料として欠かせないし,セッケンの香料にも使われる。香りの成分は酢酸リナリル34~40%,l-リナノールなど。イタリア南部,シチリア島などが主産地で,同地方では数百年以前から利用されており,ベルガモット油が世界各地に輸出されている。栽培法はネーブルオレンジやバレンシアオレンジに準じる。日本では小豆島などで試験的に栽培され結実しているが,経済的栽培はない。なおシソ科で北アメリカ各地に生えるヤグルマハッカMonarda fistulosa L.もベルガモット(英名wild bergamot)と呼ばれ,これも花の香りがよい。
執筆者:星川 清親
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
ミカン科(APG分類:ミカン科)の常緑低木。イタリアで数百年前から知られ、ダイダイとレモン、あるいはライムとの雑種から由来したものと考えられ、変異に富む。葉は大きく、小鋸歯(きょし)があり、葉柄は長く、大きい翼葉がある。花は白色。果実は120~150グラムで扁円(へんえん)、倒卵、洋ナシ形があり、へそがあるものが多い。果皮は粗く、レモン色で、瓤嚢(じょうのう)(袋)数は12~13個、果肉は柔らかく、青緑黄色で酸が多く、すこし苦い。イタリアで栽培が多く、カスタグナロ、フェミネロなどの品種が知られている。
茎、葉、果皮にベルガモット油を含み、香料として重要である。また果実からはクエン酸がとれる。なお、ベルガモット油はライムにも含まれている。
[飯塚宗夫 2020年10月16日]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…日本のダイダイ(橙)もこの中に含まれる。葉が極端に小さいマートルリーフオレンジmyrtle‐leaf orange,果実の形・色がライムに似たベルガモットオレンジbergamot orange,萼が肥厚したザ(座)ダイダイなどが含まれる。(3)マンダリンオレンジC.reticulata Blanco(英名mandarin orange) 通常,果皮が黄橙色のマンダリンと紅橙色のタンゼリンtangerine orangeに大別される。…
…ほかにブーケー,枝葉がギンバイカ(マートルmyrtle)ににて矮性(わいせい)で葉が小さく小果のマートルリーフオレンジ(別名シノット)などがある。近縁種に台湾の南庄(なんしよう)橙,インドのキチリー,イタリアのベルガモットなどがある。外国ではサワーオレンジの実生を台木にするが,トリステザウイルス病に弱いため近年はあまり使われない。…
※「ベルガモット」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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