ベレン(英語表記)Belém

デジタル大辞泉 「ベレン」の意味・読み・例文・類語

ベレン(Belém)

ポルトガルの首都リスボンの一地区。中心部よりテジョ川に沿って西方約6キロメートルに位置する。正式名称はサンタマリア‐デ‐ベレン。世界遺産に登録されたジェロニモス修道院ベレンの塔など大航海時代ゆかりの建造物のほか、美術館博物館が多い。バスコ=ダ=ガマインド航路を発見した時の出港地として知られる。

ベレン(Belém)

ブラジル北東部、パラー川下流の港湾都市パラー州の州都。アマゾン川流域の物資の集散地として商業が盛ん。人口、行政区142万(2008)。ベレム

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ベレン」の意味・わかりやすい解説

ベレン
Belém

別称パラ Pará。ブラジル北部,パラ州の州都。アマゾン川河口部の一部をなすパラ川の下流部右岸に位置する港湾都市。大西洋から同川を約 140kmさかのぼった地点にあり,グアジャラ川の流入点に近い。パラ川の対岸は広大なマラジョ島である。高温多雨の熱帯気候区に属し,年平均気温 26℃。年降水量は 2700mmに達し,その大部分は1~6月に降る。 1616年要塞を中心として集落が建設され,この地域のポルトガル植民活動の中心地となった。 17世紀末まではおもに砂糖貿易と牧牛によって繁栄,その後はイネワタ,コーヒーなどの栽培が中心となったが,ブラジル南部でこれら作物の生産性が高まるとともに衰退。 19世紀末~20世紀初めのゴムブーム時代にアマゾン盆地に産する天然ゴムの主要積出港となり,再び繁栄。同ブーム後もブラジル北部の主要商業中心地として,またアマゾン流域の玄関口をなす港として発展。現在おもにブラジルナッツ,黒コショウ,キャッサバジュート,木材,アルミナを積出す。食品加工,製材,造船,機械,石鹸などの工業が立地する。サントアレサンドレ教会 (1616) など植民地時代の建物も残るが,マンゴー並木で知られる市街は近年急速に近代化が進み,中心部には高層ビルが立並ぶ。ブラジル北部の文化中心地で,市内にはパラ連邦大学 (1957) ,ゴエルディ博物館,パス劇場など各種の文化施設がある。港はアマゾン水運の主要河港であるとともに,国際航路,沿岸航路の海港としても重要。またブラジリアから北上するトランスアマゾン・ハイウェーの終点で,周辺一帯の道路網の中心となっている。国際空港もある。人口 124万 6435 (1991推計) 。

ベレン
Belém

別称サンタマリアデベレン Santa Maria de Belém。ポルトガル中西部,リスボン県,リスボン市の西部地区。テージョ川右岸にあってかつて王宮がおかれた。 1499年のバスコ・ダ・ガマによるインド航路発見を記念して建設されたベレンの塔 (1515~21) ,エンリケ航海王子の偉業を記念したジェロニモス修道院などポルトガル大航海時代を代表する建造物をはじめ,大統領官邸パソデベレン (1770) ,各種博物館などがある。人口1万 7911 (1981推計) 。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「ベレン」の意味・わかりやすい解説

ベレン
Belém

ブラジル北部,パラ州の州都。旧称パラPará。人口142万8368(2005)。パラ川右岸河口付近,グアマ川との合流点に位置する河港都市。ベレン・ブラジリア国道(2116km)の終点で,国際空港がある。商工業の中心。1616年植民基地として創設され,アマゾニアの商業,貿易の中心として発展した。とりわけ19世紀末から20世紀初頭にかけてのゴム採取産業の最盛期に繁栄。ここから輸出された天然ゴムは,旧名によってパラゴムと呼ばれる。現在でもゴム,ジュート,コショウ,木材の輸出が多い。従来の飲料,製材,織物工業のほか,工業団地の造成が進み,石油,造船工業が興る。市の西部に古い城砦,市庁舎,カテドラルが集まり,昔の港の埠頭の広場にはベール・オ・ペーゾVer-o-Peso(〈量目検査場〉の意)の市が開かれ,近隣の産物や日用品が売買される。エミリオ・ゴエルディ博物館には,アマゾニアに関する民俗資料,動植物園,図書館がある。街はマンゴーの大樹による街路樹で美しい。雨季は12~5月,乾季は6~11月。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベレン」の意味・わかりやすい解説

ベレン
べれん
Belém

ブラジル北部、パラ州の州都。旧称はパラParáで、ベレムとも表記する。パラ川の河口から145キロメートル上流に位置するアマゾン水系最大の港湾都市である。人口128万0614(2000)。1616年に建設された都市で、植民地時代の建物が数多く残る。アマゾン川流域の物資の最大の集散地として発展し、19世紀後半から20世紀初頭の野生ゴム採取の全盛期にはとくに栄えた。工業も盛んで、従来の製材、飲料、織物業のほか、石油、造船工業もおこっている。日系人が多く、日本の進出企業も多い。昔の港のわきで開かれる朝市が有名である。

[山本正三]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「ベレン」の意味・わかりやすい解説

ベレン

ブラジル北東部,パラ州の州都。パラ川河口に臨む河港都市。別名パラ。ゴム,ジュート,コショウ,木材などを輸出。ブラジリア,サン・パウロに通じる国道の起点で,石油,造船工業も興っている。1616年創設,19世紀末から20世紀初頭にはゴム・ブームで繁栄。138万1475人(2010)。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のベレンの言及

【ゴシック美術】より

…世俗建築としては,セゴビアのアルカーサル(14世紀),メディナ・デル・カンポの城(1440),トレド,バレンシアの城門や,トレドのアルカンタラ橋(1258)などが構造美を誇り,グアダラハラの宮殿(15世紀末)が豪華怪異なムデーハル様式の装飾を展開し,地中海沿岸地方には繁栄を物語る都市建築の伝えられるものが多い。 ポルトガルは,王廟のあるバタラの聖母修道院教会(1387‐),バスコ・ダ・ガマ出航起点地に建てたベレンBelém(リスボン)のヒエロニムス修道院(1499‐)は,いずれもイギリス・ゴシックの影響を示し,後者は後期ゴシック様式に貝殻類,熱帯樹,航海具類をまじえた豊かな装飾をくりひろげ,マヌエル様式の代表的建築をなしている。
[イタリア]
 イタリアもゴシック建築の諸要素をうけいれ,ことに窓や細部の装飾デザインをゆたかに駆使して,独自のイタリア・ゴシック様式を展開しているが,バシリカ形式の伝統は強く,幅広い空間構成を維持し,ことに堅固な壁体をもつ建築を保持して,いわばロマネスク様式とルネサンス様式との橋渡しをした中間的存在といえる。…

【アマゾニア】より

…しかし,どこでも一年中同じように多雨というわけではなく,割合に雨の少ない季節のあるところもある。例えば,河口に近いパラ州の州都ベレンでさえ8月から11月までの4ヵ月間は月降水量が100mm前後で,蒸発散量に比べて割合に雨の少ない季節になっているし,マナウスにおいても,7月から9月にかけての3ヵ月間は100mm以下で,特に8月には50mm以下になり,東京の最も少ない1月の降水量より小さな値である。このように,アマゾニアにおいても,短い乾季が現れ乾季と雨季の二つの季節が認められるし,これらの地域の植生も熱帯半常緑降雨林である。…

【パラ[州]】より

…面積124万8042km2(ブラジルの14.66%),人口544万8600(1995),人口密度4.3人/km2。州都ベレン。アマゾン川の下流域一帯を占め,アマゾナス州に次ぐ第2の面積をもつ。…

※「ベレン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

部分連合

与野党が協議して、政策ごとに野党が特定の法案成立などで協力すること。パーシャル連合。[補説]閣僚は出さないが与党としてふるまう閣外協力より、与党への協力度は低い。...

部分連合の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android