ジェロニモス修道院(読み)ジェロニモスしゅうどういん(英語表記)Mosteiro dos Jerónimos ポルトガル語

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジェロニモス修道院」の意味・わかりやすい解説

ジェロニモス修道院
ジェロニモスしゅうどういん
Mosteiro de Jerónimos

ポルトガルリスボンのテージョ川沿岸,ベレン地区にあるマヌエリノ様式修道院。 16世紀半ば,マヌエル1世がエンリケ (航海王子)偉業敬意を表し,約 30年の歳月をかけて建造した。建築にはディオゴ・ボイタクのほかジョアン・デ・カスティーリョらスペイン人も参加した。南門,回廊中庭の柱などをはじめ,修道院全体に繊細な彫刻が施され,石灰岩からなる白亜の建物とともに優雅で洗練されたマヌエリノ様式を代表している。インド航路発見により巨額の富を築き上げたポルトガル大航海時代の輝かしい歴史を伝える建造物となっており,王家の霊廟として国王マヌエル1世が埋葬されている。 1983年ベレンの塔とともに,世界遺産の文化遺産に登録。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジェロニモス修道院」の意味・わかりやすい解説

ジェロニモス修道院
じぇろにもすしゅうどういん
Mosteiro dos Jerónimos ポルトガル語

ポルトガルの首都リスボン南西部、テージョ河岸の近くにある修道院。マヌエル1世が設立し、フランス系の建築家ボワタックが設計にあたった。着工は1502年。後期ゴシック式を基調にしながら、螺旋(らせん)状の柱をもち、船の索具、貝類、天球儀珍奇な植物などをモチーフにした彫刻で細部を飾るなど、きわめて華麗で幻想的な感じを生み出している(マヌエル様式)。これは、インド航路開拓に成功し、ポルトガルが東洋貿易で沸き立っていた時代思潮の反映である。聖堂内にバスコ・ダ・ガマや詩人カモンイスの墓がある。この修道院は近くにあるベレンの塔とともに、1983年に世界遺産の文化遺産として登録されている(世界文化遺産)。

[紅山雪夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

マイナ保険証

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...

マイナ保険証の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android